先月、ハーケンクロイツを掲げ、ナチスの軍服を着たホストが接客する大阪のホストクラブが話題になりました。現代の国際感覚とあまりにもズレた事件のため、日本だけでなくポーランドや海外のメディアもこの問題を取り上げました。
また、先月15日には立憲民主党の衆議院議員である桜井周氏の演説会で、会場にいた支持者たちが「右手を胸元から右斜め上へと一斉に突き上げた」ことが問題視されました。アドルフ・ヒトラーを称える「ナチス式敬礼」に似ていると批判が相次ぎ、桜井氏は最終的に「集会における不適切な行動があった」として謝罪しています。
集会における不適切な行動および投稿について削除し、心よりお詫び申し上げます。
— 衆議院議員 桜井シュウ(立憲民主党) (@sakurai_shu) October 18, 2021
4カ月前の7月には東京オリンピック開会式・閉会式のショーディレクターを務める小林賢太郎氏のお笑いコンビ「ラーメンズ」が、過去にナチスによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)をネタにしたコント動画が拡散。こちらも批判を集め、同氏はショーディレクターを解任されました。
日本では、なぜ「ナチスのモノマネを気軽にしてしまう人」が後を絶たないのでしょうか。
デリカシーのない日本人の発言の数々
筆者はドイツ人の父親と日本人の母親の間に生まれ、ミュンヘンで育ちました。日本に来てから約20年。思い返してみると、来たばかりの頃、「日本とドイツのハーフ」であることを伝えると、よくこうリアクションされたものです。
「日独ですか。日独といえば、日独伊三国同盟ですね!」と。その後、発言者の多くが決まって「わっはっは」と大爆笑するのでした。
「日独伊三国同盟」は筆者ももちろん知っています。しかしなぜ自己紹介の際、それを持ち出すのか不思議でなりませんでした。というのも、ドイツでは「ナチス政権時代に日本・ドイツ・イタリアが同盟を結んでいたことを喜ばしく思うような発言」はタブーだからです。
この発言者の多くは高齢者でした。現在では戦争や同盟のことをあまり知らない人が増えたせいか、同じようなリアクションはだいぶ少なくなりました。