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 一方で現在は、ドイツ人を前にして「(第二次世界大戦中の)ドイツ人は悪くなかったと思う」と発言する日本人に遭遇することがあります。また、「ドイツ人は、ユダヤ系の人を見ると、やはりドキッとしますか?」などと聞かれることもあります。きっと悪気はないのだろうけど、どちらも不用意な発言だな、と思います。

 前者の発言についてはかばっているつもりかもしれませんが、ドイツ人はそう捉えません。また、後者については、「ドイツ人VSユダヤ系」という視点がそもそも問題です。なぜならドイツにはユダヤ系ドイツ人も多くいるからです。目の前のドイツ人がユダヤ系かもしれない事実に対して、無知であることに危うさを感じます。

ドイツで「ヒトラーを褒めたら」どうなる?

 ヒトラーは世界を第二次世界大戦へと導き、数百万人のユダヤ人に対する虐殺、いわゆる「ホロコースト」を行いました。ドイツ人にはその事実から目を背けてはいけない、ナチス思想は絶対に擁護してはいけないという共通認識があります。

 法律でもそれは厳しく制限されています。ドイツ刑法130条「民衆扇動罪」では、「アウシュヴィッツのユダヤ人大虐殺などなかった」「虐殺されたユダヤ人の数はもっと少なかった」といった類の発言をはじめ、ヒトラーやナチスドイツを礼賛する言動が禁止されており、違反すると禁固刑に処せられる可能性があります。

 また、ドイツ・非ドイツ人を問わず、国内でハーケンクロイツを見せたり、ナチス式の敬礼をすることも禁止されています。2017年にはベルリンの連邦議会議事堂前でナチス式敬礼をした中国人観光客2名が現地警察に逮捕されました。

 ナチス思想の復活を防ぐため、ドイツの外務省も1月27日の「国際ホロコースト記念日」では犠牲者の追悼をするとともに、「二度とこのような犯罪を起こしてはならない」と発信し続けています。

 先月10月18日は「ユダヤ人の絶滅収容所への移送開始」からちょうど80年の節目の日。この日、ドイツのシュタインマイヤー連邦大統領はベルリン・グルーネヴァルト駅で行われた追悼式に出席し、「反ユダヤ主義が我々の社会で再び許容されることは決してあってはならない」と述べました。東京のドイツ大使館も翌日に追悼式の様子をツイートしています。

ドイツ大使館Twitterより
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