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すべてを投げ打って表現する彼女の生き方

 今年4月に放送された音楽番組『MUSIC BLOOD』(日本テレビ系)に出演した平手。トークのコーナーでは、練習スタジオで冗談を交わしながらダンサーたちと仲良くふれあう普段の姿が紹介された。

 容易に人を寄せつけない雰囲気を醸し出しながら、信頼する相手には無防備なくらい無垢な表情を見せる彼女。そのアンビバレンツさとギャップが多くの人の心をとらえて離さないのだと思う。

欅坂46『サイレントマジョリティー』(2016)ソニー・ミュージックレーベルズ

 2016年、14歳で欅坂46のセンターとして『サイレントマジョリティー』でデビューし、以降、一度もセンターを明け渡すことなく2020年に欅坂46を脱退。同番組では欅坂46時代、センターに立つことを「不安とかプレッシャーしかなかった」と振り返り、「どうしたらこの曲をもっと届けられるか、もっと良く出来るかということを常に、今もですけど考えてます」とアーティストとしての心情を語っていた。

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 その言葉に嘘偽りは微塵もないだろう。己の中に抱えた矛盾や葛藤、逡巡を乗り越え、余力やその先など考えず今、自分が持っているものすべてを投げうって表現する。それが「平手友梨奈」なのだ。

その姿は躍動する生命そのもの

 演技とダンス、手段は違うかもしれないが、「表現」という意味では根底で繋がっていると言っても良い。

 なるべく失敗しないよう、無難に事を丸く収め、長いものや多数派におもねり、型にハメがちな時代の空気感。そんなものに平手友梨奈は抗い、立ち向かっているようにも見える。多くのファンはそんな彼女の懸命な姿に生きる勇気をもらい、この終わりなき日常をどうにか乗り切っているのではないだろうか。

 俳優としては今後、これまでのイメージに対する脱却・反骨がテーマになっていくに違いない。そのたびに何度も私たちの想像力を激しく揺さぶってくれることに期待したい。

 まさに「躍動」する生命。平手友梨奈はこれから先、どんな場所でも力の限り、踊り続ける。