「私も東京を脱出します」と語る理由

 藻谷は最近、渋谷区の一戸建てから近くのマンションに引っ越した。二人の息子が独立したので、夫婦二人の生活にダウンサイジングしたのだ。今後はもう少し仕事が整理されたら、「私も東京を脱出します」とも言う。「車はなるべく運転したくないので、住むのは地方都市の市街地かな。でも鉄道やバスのあるトカイナカもいいかもしれません」。

 つまりデータで物事を考える藻谷は、既成の成功概念にとらわれない。大きな家に住むなどという愚を犯さずに、その時の身の丈でその時に一番質実剛健の生き方を選択する。

 その視線の先に「トカイナカ」がある。この動きの先に、この国の未来が見えてくるか。その答えがでるのは、もう少し先のことになる。

トカイナカに生きる (文春新書 1368)

神山 典士

文藝春秋

2022年6月17日 発売

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