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「地元の人にどんなに勧められても食べない(笑)」掟ポルシェが「地方の名物」だけは絶対に食べない納得の理由

食尽族・掟ポルシェインタビュー #2

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――すごい! 食べ物ガチ勢だ!

 え、そんなの普通でしょ。皆やってることですよ! 見つけた、この店だ。これは小田急線梅ヶ丘駅の近くにある柴崎亭というラーメン屋の写真です(2020年に「SHIBASAKITEI+」としてリニューアル)。見ればわかる!

あまりにも美しい柴崎亭の麺(写真:SHIBASAKITEI公式サイトより)

――おお、とてもおいしそうですね!

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 柴崎亭の店主は「ラーメンは見た目が8割」というポリシーの持ち主です。俺もその考えに賛成で、ラーメンに限らず、見た目がキレイな料理は高確率で味もいい。特に寿司なんかは「見た目が良ければ絶対おいしい」と言ってもいいかもしれません。
 
 まずい寿司屋は、海苔の切り方が悪かったり軍艦の端が剥がれていたりして、仕事が雑なんですよ。料理が汚い飯屋はまずい! 「ここまで汚いレバニラ作るの!?」とびっくりするような中華料理屋とかありますもんね。
 
――「ちょっと汚いくらいの店のほうが料理はおいしい」というイメージが漠然とありますが……。
 
 それは店構えの話ですよね? 店が古びていても、料理そのものはきれいな見た目をしているならいいんです。でも料理の見た目も大ざっぱな感じだとしたら、そういう店は絶対にまずいとまでは言わないけど、自分の好みの味ではない可能性が非常に高い。
 
 テレビがやる気なく垂れ流されていて、その下に民芸品なんかがあって、段ボールが積まれていて……みたいな地方の食堂がその土地の名店扱いされていることがありますけど、大方まずいですよね。ひなびてりゃいいってもんじゃない。

「地方に行っても、絶対に名物だけは食べない」理由とは


――掟さんは「地方の名物にうまいものなし」説を提唱していますよね。

 仕事で地方に行っても、絶対に名物だけは食べないようにしています!

 昔と今で人々に好まれる味というものは大きく変化しています。味の世界は日進月歩。料理人たちはさらなるおいしさを求めて日々研究を続けて、そうじゃない店は客が離れていくのが道理というもの。
 
 でも地方の名物というものは、時代が変わっても「昔ウケた味」のまま進化していない場合が多い。
 
 そこに昔から住んでいる人にとっては思い入れのある味だとしても、他県から来た人間が客観的に食べてみると……ということもあるでしょう。それに地元の人たちだって、その名物を頻繁に食べているわけじゃなかったりして。本当にうまかったら、普段から食べますよね。
 
――地方でハズレのお店をひかないためには、どうすればいいでしょうか?