クールコーラ、ファンシー、ストリート、どこか聞いたことがあるような商品名に見たことがあるような配色のラベル。これらはロシアで製造・販売されているコカ・コーラ社の清涼飲料水コカ・コーラ、ファンタ、スプライトの“類似品”である。
「コカ・コーラ社がロシア事業停止を発表すると、商機ととらえたロシア国内の飲料メーカーが、ここぞとばかりにコーラの“類似品”を新商品として発売しています。クールコーラを製造しているのはロシアの伝統飲料であるクワスを製造・販売している会社ですが、ここもその波に乗ったということでしょう」(経済部記者)
コカ・コーラがロシアのスーパーから消えつつある中、ロシア人の“コーラ欲”を満たしているというクールコーラ。コカ・コーラと同じ味がするのか、はたまた全く違う味なのか。取材班は独自ルートで商品を入手することに成功。体当たり取材でその味をレポートする。
マクドナルドに続きコカ・コーラ社もロシアから事業撤廃
2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻を受けて、アメリカやヨーロッパをはじめとした西側諸国はロシアに対する経済制裁を続けている。民間でも数々の企業がロシアでの事業撤退を発表した。5月にはマクドナルドがロシアでの事業撤退を発表し、日本でも大きな話題となった。
マクドナルドがロシアで展開していた店舗は約850店舗。すっかりロシアの地になじんでいた味が消えたことにロシア国内のハンバーガー好きが悲しむ様子も報道されている。そこで登場したのが“類似品”を販売するお店である。とあるロシア在住の日本人は“類似品”に対するロシア人の反応をこう語る。
「日本では『マクドナルドの味より劣る』と批判的な報道があるようですが、マクドナルドロシア1号店に居ぬきで入ったお店は、今でも多くの客で混雑しています。確かに味は変わりましたが、ハンバーガーとして普通においしいですし、ロシア人の多くはそこまでブランドを気にしないので違和感なく受け入れられているようです」
類似品「クールコーラ」の味
ハンバーガーといえばコーラがつきものだが、コカ・コーラ社もまた、3月にロシア事業の停止を発表している。在庫がある店舗は現在でもコカ・コーラの販売を続けているようだが、次第に品薄状態になりつつある、と前出の日本人が語る。そこで台頭してきたのがクールコーラをはじめとした“類似品”だという。
「ロシアには国内企業が作ったコーラがいくつかありました。ただ、それらはスーパーでも目立つことは無く、あまり人気もありませんでした。ところが、コカ・コーラが品薄となった今では店頭で山のように積まれて存在感抜群。私は気になって飲んでみましたが、『ペプシじゃなくてちゃんとコカ・コーラの味だ!』と驚きました。もちろん、本物と飲み比べたら違いは分かりますけどね。発売して間もない今こそ色物扱いされていますが、そのうち広く受け入れられるようになると思います」(前出・ロシア在住の日本人)
意外なことに再現度が高いと評されるロシアのコーラ。実際にどれほど近い味なのだろうか。取材班はロシアで販売されているコカ・コーラ社製のコカ・コーラ、スプライト、ファンタ、そして現地メーカーが製造したクールコーラ、ストリート、ファンシーを入手。それぞれ見た目、匂い、味を検証し、“類似品”の実態に迫る。