目隠しの“テイスティング、その結果は…
編集部にあったタオルで目隠しをして、カップまで手を誘導してもらう。まるで介護されている気分のまま、コーラのテイスティングから始める。
まず口に運んだコーラはどこか薬品のような風味があり、飲み込んだ後も人工甘味料のような甘さが舌の上に残った。おそらくこれがクールコーラだろうと思うが、念のため二つ目も飲んでみる。こちらはコカ・コーラ独特のスパイス感が感じられ、後味もすっきりしているように思う。やや曖昧な理由だが、一つ目がクールコーラだと判断した。
カップ裏に書かれた正解を確認すると、やはり一つ目がクールコーラで、二つ目がコカ・コーラだった。やはりクールコーラはコーラに似せてはいるものの、チープな印象が否めない。コカ・コーラの不思議な“スパイス感”を再現するのは難しいという事だろう。続いてスプライトとストリートのブラインド・テイスティングに移る。
これは非常に簡単だった。一つ目を飲んだ途端に、これはストリートだと確信した。なぜなら柑橘系の風味がほとんどしない“甘い炭酸水”だったからだ。二つ目を飲むまでもなく一つ目をストリートと断言。難なく正解した。
難しかったファンタとファンシーの違い
最後はファンタとファンシーのテイスティングである。これが非常に難しかった。まず手に取ったカップからはオレンジの香りが強く香った。この時点でファンシーではないかと思ったが、二つ目を飲んだ時点で味の違いが分からなくなってしまった。どちらも同様に苦みがあるものの、個人的に苦手な味ということもあってどっちが“美味しい苦味”なのかという判断ができない。
結局、やや甘味がくどく感じた一つ目をファンシーと判断したところ、幸いにも正解だった。先ほどは「風邪薬シロップのよう」などと書いてしまったが、ファンシーが一番“正規品”に近い味なのかもしれない。
すべての試飲を終えて、急ピッチで“類似品”を作ったロシア企業の努力は感じたものの、正規品には一歩届かない“類似品”の悲しき定めを実感することとなった。確かに一時的にはこれらの“類似品”で満足できるかもしれないが、ファンにとってはコカ・コーラを始め、“正規品”の味が恋しくなることは間違いないだろう。
美味しいものは西も東も関係ない。為政者が勝手に始めた戦争で奪われた楽しみを市民は何とか他の物で補おうとしている。そのロシア国民のたくましさに感服するとともに、一刻も早くロシアでもコカ・コーラがいつでも手に入るようになることを願ってやまない。