文春オンライン

日本の宝・大谷翔平とアメリカンリーグ西海岸の楽しみ方

2022/08/04

人気投票ではダントツの最下位

 それもあって、オークランド市からはプロバスケもフットボールも次々と撤退・移転されてしまい、いまやどこにも行くあてのないアスレチックスだけが大手メジャースポーツのプロ球団ということで、最近になって1兆円かけて新球場建設をするんやという話が市議会でようやく進みつつあるというのが現状です。ほんとかなあ。

 昔は不人気貧乏球団と言えばサンディエゴにあるパドレスやタンパベイのレイズ(旧デビルレイズ)、アリゾナのダイヤモンドバックスあたりだったわけですけれども、MLBの一部のアンケートなどでの人気投票ではダントツの最下位に輝いたのがアスレチックスなのであります。有望選手(プロスペクト)リストを見ても、マイナーリーグが好きな人でも「誰やねん」という若者が並んでいるあたりも要チェックです。

【OAK】プロスペクトランキング【2022シーズン前】
https://note.com/10_11/n/n9bf761578c9b

ADVERTISEMENT

日本での顧客拡大のためのメジャー開幕戦も

 日本では、かつてアスレチックスから南海ホークスにトニー・バナザードさんがやってきてさっそく乱闘となり近鉄・加藤哲郎さんにパンチを見舞うなどの武力の高さを見せつけ、ロッテ戦ではぶつけた荘勝雄さんに逃げられた腹いせにトレーナーさんもついでに殴るなど、オークランドからやってきた名刺代わりの一発をこぶしで披露するなどしておりました。その加藤哲郎さんも「どっちが怖いか言うたら、ロッテのほうやな(巨人はロッテより弱い)」の素敵発言で物議を醸して日本シリーズを巨人にひっくり返されるという事件も引き起こしています。

 まだイチロー(鈴木一朗)さんがシアトル・マリナーズにいるときは、日本での顧客拡大のためにマリナーズVSアスレチックスというイタいカードのメジャー開幕戦を組まれたりもしたのはいい思い出です。その後もコロナ前の2019年にイチローさん引退の顔見世興行的な同カードが組まれ、菊池雄星さんとかもいて日本でのアスレチックス知名度向上にほんのり貢献をしました。良かったですね。

 そんなアスレチックスの魅力は、魅力がないことです。

 コロナ感染拡大がアメリカ的には明けたことになっている2020年シーズンには、強い打棒と堅実なショート守備で鳴らしたセミエンさんが、21年シーズンは主砲の一塁手オルソンさんにゴールドグラブで一発屋のチャップマンさん、先発の柱であった右エースのクリス・バシットさん、左エースのマナエアさん、捕手もできる中堅選手のベタンコートさんまで放出。カネがないんだよカネが。まともに活躍していた選手は、保有期間を1年以上残した市場価値のあるうちに全員見事に放出されました。チーム解体ショーとまで呼ばれるわけですよ。実際、解体されたように見えますからね。

関連記事