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これぞ「ディープ新小岩」 東京で指折りの“ガチ外国食堂”がすごすぎた

これぞ「ディープ新小岩」 東京で指折りの“ガチ外国食堂”がすごすぎた

2022/08/10
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貴州人オーナーの提供する食事は、かなり辛いので注意

 ここでルミエール商店街は終了ですが、まだまだインド系カレー屋、中国食材店、ベトナム食材店と続きます。中国食材店と並んで「友誼物産」という店もあるのですが、話好きな中国人オーナーの所有する謎の民芸品やらレトロ雑貨を販売する店でして、日本の異国系の店の中でも類を見ない味わい深い店です。同じく変わり種の異国店としては、ルミエール商店街そばにバングラデシュ人経営のスマートフォン屋があります。外国で見るスマートフォンショップそのままの雰囲気なのがたまりません。

ルミエール商店街のアーケードが終わってももう少し外国の店は続く

 ベトナム料理屋のバインミーゴンゴンのところで左右を振り向くと、これまた日本でも珍しい貴州省の「貴州火鍋」と、中国東北地方のパン食だけを提供する「劉記中華面食」、それにタイ料理屋「センチャン」があります。

 日本に住んでいる中国人は東北地方(遼寧・吉林・黒龍江3省)出身者が多いのですが、貴州は西南部で日本在住中国人もすごく少ないことから、貴州人オーナーの提供する食事にしてもよくあるガチ中華とはだいぶ違います。かなり辛いのでご覚悟を。一方、劉記中華面食の店内は中国の伝統的なパン屋という趣で、奥では中国の調理スタッフが頑張って作っている姿も。もちろん、どれもがガチ中華未経験の人には新しいので海外旅行気分になること間違いなしです。

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辛い味が特徴の貴州火鍋

1駅隣の小岩まで行くと、さらなる外国文化が

 さらに新小岩では現在バングラデシュ人によるモスクの資金を募っているところで、ムスリムの人にとっての心と教養のよりどころとなるモスクができれば、バングラデシュの店もより出てくることでしょう。新小岩にはすでにバングラデシュの店はありますが、よりガチ度を求めるならば隣駅の平井がお勧めです。

 ガチ外国な店が、地元商店街の色を変えすぎず溶け込んでいるのですが、新小岩の10年前を知る人に話を聞いたところ「タイ料理が昔からあった」「駄菓子屋のような店でおばあちゃんが500円で出してるケバブ屋があった」など、どうも昔から外国人が溶け込んでいた地域だったようです。

 例えばネパール料理屋マリカに入ってチャイを一杯飲むか、軽く食べてククリラムを飲む。その後ルミエール商店街を歩き、ガチ外国商店に入りつつ食事する店を決めると、1回の新小岩訪問で外国に行った気がして、記憶に残る刺激的な1日になるでしょう。またはさらに総武線で1駅隣の小岩まで行くと、さらなる外国文化と出会えて驚くことうけあいです。

 小岩などの異国飯については、1章まるごと小岩を扱った拙著「移民時代の異国飯」を手に取っていただければ幸いです。

写真=山谷剛史

移民時代の異国飯 (星海社新書)

山谷 剛史 ,小林 銅蟲

星海社

2022年4月27日 発売

これぞ「ディープ新小岩」 東京で指折りの“ガチ外国食堂”がすごすぎた

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