「やらなくてはいけない」とわかっているのに、ついつい先延ばしにしてしまう……。そんな“先延ばし癖”に悩んでいるけれど、怠け者だと思われるのが怖くて誰にも相談できずにいる人は、実は多いのではないでしょうか。
特に発達障害の1つであるADHD(注意欠如・多動症)の人は、そういった困難を感じやすい傾向にあります。
臨床心理士の中島美鈴さんは『もしかして、私、大人のADHD?~認知行動療法で「生きづらさ」を解決する~』(光文社新書)の著者であり、自身もADHDの傾向があることを公表しています。
この記事では、ADHDの診断を受けている人から、診断は受けていないけど“先延ばし癖”に悩んでいる人までを対象に、先延ばしをなくす方法や先延ばしをしてしまう理由について、中島さんに質問して答えていただきました。(全2回の2回目/前編を読む)
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先延ばし回避のヒントは“風呂場”?
――ついつい先延ばしをして、やらなければいけない作業が溜まって気が重くなることが多いです。どうすれば先延ばしをなくせるでしょうか。
中島 手をつけるのが面倒くさい、重めの作業があるとします。例えば仕事はもちろん、確定申告や、会社・学校に提出しなければいけない書類の記入などですね。「家に帰ってご飯食べてからやろう」と思っていたのに、テレビを優先したり寝てしまったりする。これが先延ばしに繋がるんですよね。
私の考え方としては、面倒くさい作業を気合で乗り越えようとするんじゃなくて、これから紹介するいろんな方法を使ってクリアしてみてほしいと思います。
まずは環境を変えること。面倒くさい作業をいつものこたつ机でやるのではなくて、カフェに持ち込んでみるとか。高いチェストの上でやってみる手もありますね。風呂場で作業するという人もいましたよ(笑)。
――風呂場!? 集中できるんでしょうか。
中島 誘惑になるものを近くに置かないのが一番のポイントです。例えばスマホは近くに置いちゃダメですよね。テレビも消しましょう。ラジオや音楽など、作業の邪魔にならず気分を上げられるようなものは、むしろあったほうがいいですね。
「タイムロックコンテナ」という商品は、中に物を入れて日時を設定すると、その時間まで絶対に開けられないんです。作業中にTwitterを見ないように、その「タイムロックコンテナ」にスマホを入れたという人がいましたね。「これから4時間集中するぞ」と決めて、4時間後まで開かないようにするのは良い方法かもしれません。
あとは、脱線を防ぐために指定した時間までネットを使えなくするアプリをスマホに入れた人もいました。有料のアプリなんですが、途中で解除したくなったのでまたお金を払ったと嘆いていましたね(笑)。