このように作業を細かく区切って管理すると、スケジュールの調整が柔軟にできるようになるのもポイントです。
例えばイレギュラーな新しい作業が入ってきたときに、もともと30分単位で作業を管理していたら移動が難しいですよね。そうすると、スケジュールのパズルがぐちゃぐちゃってなってしまうんですけど、作業1つを10分単位や5分単位で細かく分配できている人は、隙間時間を作ったり作業をずらしたりしやすい。だから単位が細かいほうが融通がきくんです。
先延ばしの原因は“完璧主義”?
中島 では、なぜ先延ばしをしてしまうのか、もう少しプロセスに寄り添って考えてみましょう。
まず、その作業自体が単に苦手である場合が考えられます。例えば、取引先に「ちょっと納期が遅れます」という電話をかける仕事になかなか手がつけられなかったとします。それは、悪い知らせを伝えるのを憂鬱に感じていることが原因かもしれません。苦手だからやりたくなくて先延ばしをしてしまう。
作業のやり方がよくわかっていないことが原因の可能性もあります。ゴールや完成形がイメージできなかったり、手順にあいまいな点が残っていたりすると、調べるところから始めなければいけません。初めてやる仕事だと、1時間でできると思っていたら5時間かかってしまうなんてこともある。そんな憂鬱な経験が頭に残っていると、余計に嫌になってしまいますね。
あとは、完璧主義が原因の場合もあります。タスク管理が苦手でいつもやることに追われていると、新しい作業が入ってきたときにどうしてもスタートが遅れるんです。そうすると、「遅れた分クオリティの高いものを出さなきゃ」という謎のプレッシャーを感じて、余計に先延ばししてしまう。“隠れ完璧主義さん”ですよね。
――そういう“隠れ完璧主義さん”は結構多いんですか。
中島 めちゃくちゃ多いです。先延ばしする人はほぼそれですね。なんだかんだ馬力のある人たちなんですよ。間に合う自信が本当にない人は不安で先延ばしできないんですけど、一夜漬けでなんとかなった経験があるとか、なんだかんだギリギリ間に合ってきた人生だからこそ、先延ばししちゃうんです。
――「クオリティの高いものを出さなきゃ」と思ってしまう、完璧主義を薄れさせる方法はありますか。
中島 「納期に遅れるのが一番ダメ」と理解することですね。不完全な状態でも出すことが大事。
あとは、指示を受けた段階で作業のビジョンを明らかにしておくこと。「今後、疑問が生じたときはどうやって連絡したらいいですか。どのタイミングで進捗状況報告したらいいですか」と事前に聞いておきましょう。そこまで明らかにしておけば、完璧主義的な考えに陥らず、安心して作業できるはずです。
最初になんとなく引き受けてそのままにしてしまうと、後からは聞きにくいですよね。だから先に呼び水をしておくということです。