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 それで経営も上手くいかず、「もう沖縄、やめようかな」と思っていたときに、浜松の今のお店のオーナーに拾ってもらいました。「お店をつくったから従業員として来ないか?」と声をかけてもらって。それで「おれにオーナーはまだ早い。この人の下で色々学ぼう」と思って、まったく縁もゆかりもない浜松に来たんです。今年でこっちに来て3年になりますね。

人の「表裏」や「本能」を見られるバーの仕事

――お店をやっていて一番楽しい瞬間はどんな時なのでしょうか?

五十嵐 人の表裏とか、本能を見られるのが一番、面白いですね。例えばキャバクラ嬢の人たちがアフターで男の人たちと飲みにきて、帰るじゃないですか。でも、帰ったと思ったら女子チームだけ戻ってくるんですよ。で、そこから壮絶な愚痴大会が始まる。「怖いな」と素直に思ったり、そうかと思えば日本を動かすような大社長とかとも一緒に酒を飲む機会もある。

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©️文藝春秋

 逆に難しいところもあって、ただ酒を作ればいいっていう話じゃないんですよね。数ある店舗の中でこの店を選んでもらわないといけない。人間力で来てもらう。それこそ悪いことなんかできない。今ならコロナになっちゃいけないし、悪い噂になるようなことはしない。その辺は気をつけています。

芸能人だからとドヤ顔で遊ぶのは「好きじゃない」

――芸能界をやめたことで、五十嵐さんから離れていく人もいたのでは?

五十嵐 どうなんですかね……僕が元々芸能人と遊ぶのが好きじゃなかったんで、誰々とつるんで遊ぶってことがほとんど無かったんですよ。芸能界の人と遊ぶより、社長さん達と飲んで、いろんな話を聞く方が当時から楽しかった。世の中って色々な世界があって、僕はテレビに出ている人間よりも、例えば洗濯機を作った人間の方が偉いと思うんです。

©️文藝春秋

 芸能人って「すごい」と言われるけど、いなくなってもみんなの生活は困らないですよね。でも洗濯機がなくなったら困る。だから僕、芸能人だからってドヤ顔で遊ぶのがあんまり好きじゃなくて……。それに芸能人をやめて離れたというよりも、もしそういう人がいるとするなら、太ったからだと思います(笑)。