この事件が明るみに出ると、三太子像の位置をずらしたことにより、風水に悪影響が及んでしまったことが原因ではないか、と言われるようになった。
ある人の証言によると、吳家は三太子のみならず、様々な神様を信仰していたという。元来、吳家にある祖先の神主牌の他に、いくつもの異なる神像や仏像が複数一緒に祀られていた。捧げた線香を、邪悪な「なにか」が我先にと競って奪おうとする状況を、吳家は提供してしまったのかもしれない。
さらに、吳家はそれまで家に祀っていた祖先の神主牌を一掃してしまったとも言われている。それによって、他所から来た者が、空いてしまった神の地位を奪い取ることが可能になってしまったのだろうか。
風水に詳しい評論家によれば、これらの行為は殺気を増幅させる形勢風水の効果があるという。敷地全体が不規則な形をしていることと相まって、霊が集まってくる「凶宅」が出来上がってしまい、その結果、吳家全員の身体に邪霊を招き寄せてしまったのではないか、という。
近隣住民によると、吳家は家の風水を見てもらうために霊能者を呼んだことがあった。その人が家の中に入った途端、「邪悪な霊が充満しているのが見えた」と話していたそうだ。
事件は、一家が他の人たちとは精神状態が異なるために起きてしまったのか。それとも、吳家は闇に潜んだ計り知れない力を持ち備えていたのだろうか。さすがに警察は困惑してしまった。
立ち会った検察官は、5人に対して「さらなる精神鑑定を行なうため、病院へ行くように」と念を押した。
医師により、吳家の人々は感応性妄想性障害との見解が示された。つまり、集団妄想である。その結果、精神疾患はないとされた。そのため、検察は遺棄致死傷罪で5人を起訴することになった。だが、長女の死因は多臓器不全であり、外的要因によるものとは無関係だと裁判所は判断。5人を無罪とした。
その後、長女が亡くなったことに対して近所の人たちが弔意を表し、そして吳家から邪霊を祓うための祈禱費用を工面してくれた。こうしてようやく吳家は普通の生活を取り戻すことができたのである。だが、この一件に関して今や誰も二度と話したがらないとのことである。
『呪詛』は今年3月に台湾で公開され、興行収入1億7000万台湾元(約7億6000万円)を記録。そのため、台湾の各メディアはこの17年前の死亡事件に注目し、議論が再び巻き起こったのだった。