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日大三高「これなら行ける!」という確信へ

 今年の3月13日、日大三は平塚学園と練習試合を行った。実はこれより少し前に、日大三はチーム内で何度も紅白戦を行ったのだが、投手陣が打者に気持ちよく打たれ続けた。春先は投手よりも打者のほうの仕上がりが早い分、致し方ない面もあると考える一方、「これでは試合をやったらボコボコに打たれるだろう」と小倉は半ば覚悟を決めていた。

 ところが、いざ試合をしてみると、日大三の投手陣は平塚学園打線を見事に抑える。その光景をしかと見届けた小倉は、「ウチの投手陣があれだけ抑えたってことは、ウチの打線はいいってことなんじゃないのか⁉」と半信半疑になった。

 そして6日後の作新学院とのダブルヘッダーの練習試合で2試合とも勝利。平塚学園のときと同じように作新打線を日大三の投手陣が抑え、小倉が抱いていた半信半疑の気持ちが「これなら行ける!」と確信へと変わった。

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「作新学院の小針(崇宏)監督が、『今年の三高さんは、打線と投手陣が揃っていいですね』と評価してくれたのです。作新さんと言えば、2011年から昨年まで10大会連続で夏の甲子園に出場していたチームです。それほどまでのチームの監督さんが高い評価をしてくれたということは、『これは本物と考えてもいいんじゃないか』と、ようやく子どもたちの実力を信じてあげられるようになりました」

写真はイメージ ©️iStock.com

 今年の夏、日大三は西東京の代表として4年ぶり18回目の甲子園出場を果たした。だが、大会4日目の第2試合で聖光学院に2対4で敗れ、コロナに翻弄された3年生たちの夏は終わりを迎えた。

「チーム内の紅白戦だけでは、選手の評価が正当にできないことを、恥ずかしながらこの歳になって痛感しました。やっぱり他校と練習試合を行って腕を磨いていくことは重要なんですね。コロナによって、いろいろなものが狂いましたが、必ずやらなくてはならないことは何かということを、再確認した思いがしました」

 そう小倉がしみじみ語っていた姿が印象的だった。(#2に続く)