2022年8月6日、第104回全国高等学校野球選手権が開幕した。当初はチーム全員が参加する予定だった入場行進を、各出場校のキャプテンのみで行う形に変更。選手全員による入場行進は、リハーサルのみで終わった。

 この時点ですでに集団感染が判明していた浜田、帝京第五、有田工業、九州学院は組み合わせ抽選の段階で最も遅い第8日に振り分けられた。さらに続けて集団感染が判明した県立岐阜商業、九州国際大付属の2校を加えた6校は開会式を欠席。43校のキャプテンが地方大会の優勝旗を掲げて行進することとなった。

開会式で整列する各校の主将ら ©️時事通信社

県立岐阜商業の監督は「今年の3年生はコロナに翻弄された」

 県立岐阜商業を率いる鍛治舎巧監督は、大会4日目の第4試合で社と対戦し、1対10で敗れた直後、報道陣を前にこんな言葉を口にした。

ADVERTISEMENT

「今年の3年生はコロナに翻弄された」

 偽らざる本音だった。新型コロナウイルスの集団感染によって、岐阜予選決勝のスタメンから、バッテリーと1番から3番を打つ打者がごっそり抜けた。夢にまで見た甲子園での試合を目前にして、メンバー登録18人中、コロナの集団感染によって10人が入れ替わらざるを得ないという異例の事態。社との試合のスタメンでは、7人が1、2年生というチームの骨格がなしていない状況で、これまで通りに戦うことはできなかった。

 1回から3回までで、7つの四球に3つのエラーが絡んで8失点。ここから挽回することは、手負いの県立岐阜商業に期待するのは酷だった。 

 県立岐阜商業は中止となった20年のセンバツに選ばれ、21年は春夏ともに甲子園に出場。だが、21年春は1回戦で市立和歌山の小園健太(現・DeNA)-松川虎生(現・ロッテ)のバッテリーの前に打線は沈黙。0対1で9回サヨナラ負けを喫した。続く夏も1回戦で明徳義塾と対戦し、代木大和(現・巨人)-吉村優聖歩の投手リレーで2得点に抑えられ、春同様、9回サヨナラ負けした。

 前年、手にすることのできなかった甲子園での1勝を目指していた矢先、コロナの集団感染が発覚。鍛治舎はこの直後、チーム内での練習を中止し、休養の時間に充てた。