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国際ロマンス詐欺が急増「日本人は恥ずかしがり屋で被害届出さない」多額の現金をだまし取る手口とは? 背景にガーナの犯罪組織

source : 提携メディア

genre : ニュース, 国際, 社会

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ウォード:
1週間くらいで口座の凍結が解けたら、すぐに返すから立て替えてくれないか?

Aさんは凍結させてしまったという責任を感じ、申し訳ないという気持ちから7500ドル(約80万円)を立て替え、指定された口座に振り込んだ。するとその後、ウォードから領収書が届いた。しかし、その領収書は偽物で、信じてしまうくらい手の込んだものだった。

また銀行口座のサイトも偽物で、実は必ずアラートが出る仕掛けになっていたのだ。

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お金を立て替えた日から、ウォードは毎日「愛してるよ」などと愛をささやくようになった。

Aさん:
ウォードからは「帰って来たら日本で会って、将来を共にできるように考えていきたい。愛してるよ」(などというメッセージをもらったり)。「もちろん愛してるよ」って毎晩毎晩言ってきますし。本当の恋人同士のような会話は日常だったので…。互いにお金も色々やりとりしているので、それ以上の自分のプライバシーを見せているから、もうちょっと深い感じっていうか

 

その後もテロ対策証明書の発行料など、Aさんが金を立て替えることが続いた。その度にウォードはAさんに対し、不信感を抱かせないよう巧みな優しさを見せる。

 

ウォード:
僕も友人に半分出してもらうように頼んでいるから、残り半分を出して欲しい。口座が戻ったら、必ず返すから

証明書などを見せられ、すべて信じ込んでいたAさん。ウォードへの多額の振り込みは、いつしか将来のために2人で乗り越えなければならない“試練”であるかのように思いこんでしまった。

 

400万円あった貯金と消費者金融から借りた200万円をつぎ込み、ついにお金が底をついた時、Aさんは不信感を覚え始めウォードを問い詰める。

Aさん:
さすがにおかしいでしょう!

ウォード:
申し訳ない。僕はアメリカ人でもなく、ガーナ人です。詐欺グループの1人で、自分はただただ上の指示通りにメッセージを送っているだけなんだ。グループを抜けると殺されてしまう。でももうこれ以上、あなたから金を取ることはできない