遺品整理人として3000件以上の遺品整理・特殊清掃の現場に携わってきた小島美羽さん。“孤独死”の問題を伝えるために作ったミニチュア作品が話題となり、多くのメディアに出演している。
そんな彼女が企画・原案を務めた『あなたの生きた証を探して 遺品整理人がミニチュアで表現する孤独死の現場』(竹書房)が、2022年8月25日に出版された。
小島さんはなぜ遺品整理人になったのか。日本における“孤独死”の現状とは一体どのようなものなのか。漫画の中でも描かれる彼女の体験について、改めて詳しく話を伺った。(全2回の1回目/後編に続く)
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「私がやったほうがいいんじゃないか」と思うように
――遺品整理・特殊清掃というお仕事に興味を持ったきっかけは?
小島 「特殊清掃っていう仕事があるんだよ」と知人に教えてもらって、興味をもってネットで調べてみたんです。当時は悪徳業者がたくさんいて、「家族が亡くなったので業者に頼んだら、暴言を吐かれた」とか「お金を倍近く取られた」とか悔しい思いをした人の書き込みが見つかりました。
私も高校生のときに突然父を亡くしている遺族側の人間なので、悲しい気持ちに付け込んで暴言を吐いたり高額請求したりするなんて「許せないな」と正義感のような気持ちが強くなったんです。
目の前で思い出の物を壊したり、雑に捨てたりする業者もいるらしいんですよ。それを知って「私だったら遺族も亡くなった故人様も思いやるし、酷いことは絶対しないのに」「私がやったほうがいいんじゃないか」と思うようになったんです。
それに、父を亡くしてから「本当は大切な存在だったんだな」とか「実は尊敬してたんだな」と後悔していた気持ちも重なって、遺品整理・特殊清掃のことばかり考えるようになりました。
死臭を想像してイメトレを…
――その後、元々勤めていた郵便局を退職されてから、遺品整理人になるまで2年間の準備期間があったんですよね。その間はどういったことをされてたんでしょうか?
小島 その頃から遺品整理や特殊清掃の仕事を一生続けたいって気持ちがありました。でも当時20歳くらいで好奇心旺盛だったので、途中で目移りしたらイヤだなと思って、2年間で他のやりたいことを全部やってみることにしたんです。くまさんカステラのバイトやテレビ局のAD、別に興味はなかったけどお給料がすごく良い仕事もやってみました。