ゴキブリだけはやっぱりビビる
――漫画では、お仕事に就いて1件目の現場はあらかじめ片付いていて綺麗だったと描かれていましたが、2件目の現場ではゴキブリに遭遇して大変だったとか……。
小島 クロゴキブリが1000匹以上はいましたね。「うわあーっ」って叫びたかったけど、団地なので叫べないんですよ。心と声を殺しながら作業しました。
その現場はゴキブリだけじゃなくて片付ける量や汚れも多かったので、3日くらいかけて清掃したんですけど、引き出し開けたらゴキブリがいっぱいいるんです。1回閉めて、ノズル式のゴキジェットを隙間から入れてシューッて噴射したら、中で「ガサガサガサガサ!」って音がするんですよ。もう鳥肌立ちまくりですよね……。
――うわー……。今もゴキブリは苦手なんですか。
小島 ゴキブリだけはやっぱりビビりますね。殺さないと増えちゃったりするんで「絶対殺す」って気を引き締めるんですけど、内心は大騒ぎですね。
私、チャバネゴキブリは全然平気なんですよ。飛ばなくて薄茶色のちっちゃいゴキブリ。あれなら手袋をしてそのまま潰したりできるくらいなんですけど、クロゴキブリはダメですね。黒光りしていて、めちゃくちゃ早いじゃないですか。透明だったらたぶん平気だと思うんです。あんな黒になっちゃあ、ダメですね。
イメトレの効果は?
――“死臭”イメトレの成果もあったんでしょうか。
小島 実際に行って死臭を嗅いだら、想像していた臭いの方がすごかったんです。現場に入るのもためらうくらいの臭いではあるんですけど、想像の方が勝ってました。だから「死臭ってこんな感じなんだな」って感想でしたね。
――「怖い」と目を背けたくなるような気持ちにはならなかったんでしょうか。
小島 そうですね。遺品整理・特殊清掃のお仕事を知るまでは「怖いなあ」って気持ちもありました。でも準備期間の間に、遺体の跡や体液がすごい現場でも住んでいたのは自分と同じ喜怒哀楽のある人間なんだって思えるようになって、怖くなくなりました。
現場を見た時にいち早くその故人様の気持ちを考えちゃうんです。突然亡くなって部屋もそのままじゃないですか。不安だろうし、安心して天国にいけないんじゃないかなって思って、早く片付けてあげたいなって気持ちの方が先に立ちますね。
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