「私はこうはならないわ」と言われることも…
――漫画では、小島さんの話を聞いて「私は大丈夫よ、だって結婚して家族がいるもの。孤独死なんてするワケないわ」と話す女性が出てきますよね。
小島 当時はみんなそんな反応でした。「こういう仕事なんです」っていろいろ説明しても、やっぱり他人事なので「大変だね」「頑張ってね」「自分には関係ないけどね」みたいな人がすごく多かったんです。「私はこうはならないわ」とも実際に言われましたね。誰にでも起こりうることなのに、それが自分に起こるとは思ってない。
みんなが「関係ない」って思っているのが恐ろしく感じたのと、私のように身近な人が亡くなってから後悔する人が増えてしまうんじゃないかって不安に思いました。だから「これはどうにかしなきゃいけないな」と考えて、思いついたのがミニチュアなんです。
――つまり、ミニチュアを作っているのは、孤独死について考えてもらうため?
小島 ミニチュアはフィクションであって本物ではないので、見た人がショックを受けることはないですよね。特定の故人の部屋ではなく、いろんな現場の特徴をギュッとひとつにまとめて作ることもできます。それが目の前にあれば想像しやすくなりますし、話を聞いてもらいやすくなるんです。
それまで作ったことなかったんですけど、なぜかミニチュアで表現しようって思ったんですよね。
――すごいです。最近Twitterで細かいフィギュアや漫画本のミニチュアを作っているところを拝見しました。
小島 ありがとうございます! 実は失敗がすごく多いんですよ。試行錯誤して1個作った後、それを置いてもう1個作るんです。回数を重ねていくとだんだんクオリティが上がっていくので、厳選して使ってます。
亡くなった方の部屋に4匹の猫が…
――今回出版される漫画の中で、特に読んでほしいエピソードはありますか?
小島 全部読んでほしいんですが……やっぱり最後のエンディング産業展のエピソード(15話、16話)は、いかにみんなが孤独死に対して他人事だと思っているかを認識してもらえると思うので、ちゃんと読んでほしいかな。あとは、孤独死の現場に遺されたペットのエピソード(12話)でしょうか。