文春オンライン

「たばこもテレビも一生懸命作っているし、なくならないと思うんです」喫煙者でテレビマン・坂上忍(55)が世の中“ダメ”に言いたいこと

坂上忍さんインタビュー#1

2022/09/13
note

 だから今回、あえて体験させてもらったというのもあるんですよ。葉たばこも農産物である以上、一生懸命作っている人がいるのに、その姿があまり見えなかった。ひとつのモノを作り上げるのは時間が掛かることなんですけど、なかなか生産者側から「こんなに作るのが大変なんだよ」とアピールはできない。

「世の中“ダメ”なことが多くなり過ぎちゃっている気がするんですよ」

――そこには誇りを持って仕事をしている人がいるということですね。

坂上 そしてもちろん、僕のように楽しんでいる人間もいる。僕はたばこが世の中からなくなることはないと思うし、あれだけ一生懸命作っている人たちがいるんだから絶対になくしちゃいけない。

ADVERTISEMENT

 たしかにたばこには逆風が吹いているけど、変な話、僕らの業界と似ているところがあって、世の中“ダメ”なことが多くなり過ぎちゃっている気がするんですよ。

 

――なにかとコンプライアンスが叫ばれる時代ですからね。

坂上 たばこはもちろん芸能も嗜好品みたいなモノだから、生活していく上で絶対に必要ではない。ただ、なくてもいいんだけど、なければやってられない人もいる。

 最近テレビが面白くないと言われるけど、じゃあテレビがなくなるのかといったらそういうわけじゃない。カタチは変わるかもしれないけど、残っていくと思います。たばこだって電子タバコが開発されたり、あの手この手で生き方を模索している。

 でも、どこまで追い詰めれば気が済むのかなって思いもあって。「たばこは悪」と「テレビがつまらない」は似たような感覚だと思うんですよね。嗜好品って多岐にわたるわけだし、もうちょっと許容してほしいというか、ゆとりをもって見ることはできないのかなって。

「嗜好品って日常生活のなにかと密接に繋がるものなんですよ」

――じゃないと、どこかギスギスとした社会になってしまうよ、と。

坂上 そのとおり。アルコールやコーヒーもそうだけど嗜好品って単品で成立しているものじゃなく、なにかとセットなんですよ。僕は美味しいものを食べて楽しんだ後に一本吸いたくなる。一服しながら「ああ、美味しかったなあ」って思いたいし、それってすごく大事な時間だと思うんですよね。

関連記事