30年以上続いたフジテレビの名物番組『いいとも!』の後を継ぐかたちではじまったワイドショー『バイキング』。坂上忍さんは、そのMCとして2010年代の昼時のフジテレビを主戦場に戦ってきた“当事者”の一人だ。
その『バイキング』が終了して約半年。子役時代から約半世紀にわたって芸能界で生き続けた坂上さんが見た、業界の “変化”と“変わらないもの”とは――。
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――坂上さんはこの春に8年間MCを務めた『バイキング』が終了し、テレビの仕事のボリュームが落ちたと思うのですが、今はどのような日々を過ごしているのですか。
坂上忍さん(以下、坂上) 結局テレビのボリュームが落ちただけで、仕事のボリュームは変わっていないのが難点ですね(苦笑)。
僕は古い考えがある人間で、例えば『バイキング』をやっていた時期は普通じゃないぐらいの仕事量でしたし、立場をいただいたので今はここに徹するべきだと思いやっていました。あれだけの仕事をしながら、他のモノを得ようと思っても虫がよすぎますからね。
だから今は『バイキング』が終わって、この春から念願だった動物保護ハウス『さかがみ家』の運営に本腰を入れていますし、今回の葉たばこの農業体験だって昼の帯番組をやっていたら、わざわざ秋田まで来て、こんないい環境に触れながらお話しすることもできなかったと思います。
考えることは多いけど、『さかがみ家』も含め、今はこれまでできなかったことを楽しみながらやっていけたらなと思っているんです。
組まれた段取りを壊すことによって、いかにその画に血を通わせるのか
――先の農業体験も、ある意味、ちょっとだけ作業するのかと思いきや、収穫も乾燥の作業も手を抜くことなく楽しそうに最後までやり遂げていたのが印象的でした。
坂上 でもまあ農家さんの苦労を考えたらぜんぜんたいしたことありませんよ。ただ、「今ってこういうことなんだな」って思ったのは、あれが例えばテレビのロケだと、いろいろな要素を詰め込まなければならず撮れ高計算になるので、短時間であれこれやらなければいけなかったと思うんです。