約半世紀にわたって芸能界で活躍を続ける坂上忍さん。その間、インターネットにスマートフォン、YouTubeにサブスクサービスと、まさに“娯楽の王様”だったテレビを取り巻く環境は大きく変化。“テレビ離れ”がささやかれるようにまでなった。

 最前線に居続けた坂上さんは、この“凋落”の原因をどこに見ているのか――。

『バイキング』MCとして2010年代のフジテレビ「昼の顔」をつとめた坂上忍さん。テレビの“凋落”について語った

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“テレビ離れ”はどこからくるのか

――昨今“テレビ離れ”が進んでいるように感じます。テレビを主戦場にしている坂上さんは、この現状をどのように捉えているのでしょうか。

坂上忍さん(以下、坂上) “時代の流れ”や“時代に合ったルール”というのは、いつの世にも存在しているわけですけど、圧倒的に変わったなと感じられるのは、その流れやルールに抗ったり、戦う人間が減ったということ。これがテレビをダメにした一番の要因だと思いますね。

――戦う人間がいないから似たような番組が増えてしまうなど、結果テレビに求心力がなくなっていると。

坂上 そうですね。例えば農家さんは、毎年同じ品種を育てながら「こうやったらもっといい味や風味が出るんじゃないか」って試行錯誤しているわけですよ。この姿勢が進化を促すわけだし。でも、テレビの世界は「流れに抗っても変えよう」という気概がなくなりつつあるような気がしますね。

 僕は「若い人は戦え」とも言うけど、この業界で本当の意味で戦わなくちゃいけないのは中高年の方だと思うんですよ。若い人たちに煙たがられてナンボ。上司にも疎まれながら、ギリギリのところで抗わなきゃ。そうして若い人たちに「戦う隙間はどこかにあるはずだ」って成功例を示してあげないと。

 これができないとテレビはもっとつまらなくなると思いますね。おじさんたちは戦いながら、討ち死にする覚悟で頑張ってもらいたいなって。

「触るなよ、動かさないで!」になっていないか?

――ネットの爆発的な台頭もあって、テレビは転換期にありますよね。いま、覚悟を持って挑まないと手遅れになってしまうということですか。