坂上 これまでは転換期になると、地殻変動みたいに自然発生的なことが起こってテレビって成長してきたと思うんです。
けど今の転換期って「触るなよ、動かさないで!」みたいな感じで硬直化してしまっているような気がするんですよ。この状況が長ければ長いほど、テレビは本当に死んでしまうと思いますね。
――この状況を変えようとすると、何が必要になってくるんでしょうか。
坂上 例えば大谷翔平選手が成功するかどうかわからない状況でアメリカに渡って、今ではメジャーの常識を覆したわけじゃないですか。前提を超える、常識を覆すのはやっぱり結果しかないし、やっぱこの業界にも、そういった人が出てこないと。まあ、かなり難しいことであることは理解していますけどね。
“自主規制”と“生ネタ”の間で…テレビの現在地
――とはいえ今もテレビが優位性をもって活かせるモノは“生ネタ”だと思うんです。例えば大きな事件や天災があれば、多くの人がまず情報源としてテレビを点けます。坂上さんも生ネタを扱う『バイキング』という情報番組をやっていましたが、そこに難しさはありましたか。
坂上 難しさというよりも、出演者が勝手に自分でやりにくくしてしまうことはありましたよね。
スタッフから言われてもないのに「生の情報番組だから、ここまで言ったら迷惑がかかるかな?」といった自主規制っていうんですかね、自主規制をするのはテレビ局の判断だから勝手にやればいいんですよ。だから出演者は無責任に腹を括れたら、そんな難しいことはないのかなって。
「視聴者を馬鹿にしちゃいけないよ」
――確かに、話しているうちに、結局それでなにを主張しているのかわからなくなるコメンテーターもいる気がしますね。
坂上 ありがちなのが、話を振って、最初は威勢よく持論を語る。これで終わればいいんですけど、その意見にハレーションが起こるのを恐れて、自分で自分をフォローし始める。それだと尺が倍かかるわけですよ。