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 要は嗜好品って日常生活のなにかと密接に繋がるものなんですよ。またストレスのはけ口といった側面もあって、こんなストレスのたまる世の中になってきているのに、嗜好品をターゲットにしちゃうと自分たちの首を自分で絞めることになってしまう。息苦しくなるっていうんですかね。

――絶対的に必要なモノじゃないけど、世の中を生きていくための潤滑油になるということですね。

坂上 人間は生きていかなきゃいけないし、そのためには働かなくてはいけない。仕事が表だとすれば、裏にはストレスを発散する嗜好品の世界があると思うんです。表と裏は背中合わせで一体だし、寛容な時代は上手くまわっていたけど、先ほど言った“ダメ”という空気が規制を作ってしまって、切り離されてしまっているのが今の時代なのかなって。

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“健康”には人を惹きつけるパワーがあるけど…

――たしかに今の世の中「健康」というキーワードは、それだけで人を惹きつけるパワーがありますからね。

坂上 そうなんですよ。ただ僕は、農作物である葉たばこを、たばこ以外の利用方法でどうにか健康の方に持っていけないか、ふと考えたりするんですよね。そうすれば極端なもので世間の見方ってガラって変わる気もするんです。

 今回、葉たばこ農家さんを訪問して、そこには他の農作物と同じように時間をかけ、手間をいとわず、丹精を込めて丁寧に作ってらっしゃる方々がいたわけです。知恵や技術や伝統といった職人技がありましたし、そういう農家さんのためにも、たばこ産業はなくなって欲しくないなって強く思いましたよね。

 だから僕はたくさん買って、たくさん吸うだけです。まあ、そのほとんどが農家さんの実入りにならない税金なのは気に入らないけどね(笑)。

写真=石川啓次/文藝春秋

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撮影協力=角館山荘 侘桜