「テロリストに狙われていると主張する依頼者もいました。暗殺者がレーザーポインター付きの銃で自分を四六時中狙っていると」――知っているようで知らない「探偵」のお仕事に密着。

 いったいどうすれば探偵になれるのか? 依頼者の様子や、その仕事内容とは? 探偵業にまつわる悲喜こもごもをキャリア13年になる探偵 小沢氏に聞いた。(全3回の1回目/#2#3を読む)

探偵業の「知られざる苦労」とは?

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新卒で「探偵」になったワケ

――小沢さんは大学卒業後、“新卒”で探偵になられたそうですね。就職活動はしたんですか?

探偵 小沢さん(以下、小沢) 普通の学生と同じように就職活動をしていました。たしかブライダル業界とか受けていましたね。アングラ色の強い探偵とは、真逆のイメージですよね(笑)。

――ブライダル業界! 何か理由はあったんですか?

小沢 他人の恋愛や男女関係にどこか惹かれる部分があったのかなぁ……。でも、どうもしっくりこなくて。他の業界で興味を持てそうな仕事を探しているときに「探偵」の仕事に出会ったんです。

 よく遊んでいたゲームに、探偵社とか、探偵のキャラクターが出ていたんですよ。かつ僕は中二病なところがあるので、「探偵ってかっこいいかも!」って(笑)。その後、すぐに求人を探して、新卒で某大手探偵会社に入社しました。

――周囲の反応はどうでしたか?

小沢 友人たちは「小沢らしいね」とすんなり受け入れてくれましたが、両親からはとにかく反対されました。うちは父親が会社員、母親は主婦でパートタイマーというごく平凡な家庭だったので。

 反対の理由は社会的地位の低さでしたね。僕は好きだからまったく気にしてなかったけど、世間的にはまだまだ探偵って胸を張って言える仕事ではなかったようなので……。

――入社してからはどうでしたか?

小沢 大学在学中にまず探偵学校に通って、理論を学びました。実際のスキルは調査員として現場に入ってから。

 憧れで入ったものの、最初は「パンチの効いたところに入っちゃったなぁ……」と思いましたね。頭ではわかっていても、張り込みとか尾行とかって、仕事内容としてやっぱりどこかおかしい。