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――現在の肩書は「私立探偵」ですよね。なぜ独立を?

小沢 新卒で入った探偵会社で4~5年ほど修業しましたが、とにかく環境が良くなかった。探偵ビジネスって、浮気や素行調査とか基本的に「他人の不幸」をネタに儲ける仕事なので、ボッタクリが横行しやすい業界なんですよ。そこで働く人たちも、ちょっとゴロツキめいた人が多いというか。

 

 たとえば、下っ端の場合、毎日現場に行かされて、寝る時間もない。だから張り込み中についウトウトしちゃって、調査対象者の出入りを見逃す社員もいるんですよ。

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 にもかかわらず、依頼者には確認できないことにつけ込んで、「6時間張り込みましたが、出入りはありませんでした」と報告してお金を貰う……。そんな足元を見るようなビジネスは嫌だったし、それ以上に人の役に立っている実感がない。

 僕の理想としていた探偵の仕事と、かけ離れた実態がありました。その上、派閥争いや先輩の圧力など、人間関係のわずらわしさにもウンザリ。そんなとき、同僚が一斉にやめるという事件が起きて、僕も独立を決めたわけです。

行方不明になってしまった探偵も…

――ドラマのように「変装」することもあるのですか?

小沢 僕はあまりしないほうです。そこに長く留まっても怪しまれないように、風景に溶け込むことが肝心だと思っているので。オフィス街ではスーツを着るとか、お祭りの時には浴衣を着るとか、その程度です。

 

――時には身の危険を感じることも?

小沢 もちろん探偵の仕事に危険はつきものです。調査対象者が立ち寄った先が、偶然、暴力団本部の真横の建物だったこともありました。その近辺で張り込むわけですが、暴力団の構成員らしき人もこちらを見張っているわけです。いや、そっちに用事があるわけじゃないのに(笑)。

 ほかにも筋骨隆々のアメリカ軍人に囲まれたり、雪が降りしきる中、何時間も外で張り込みを続けたりなど過酷な状況はいくつもありました。

 でも、本当に怖いのは対象にこちらの存在がバレてしまうこと。会社員時代の同僚は見つかってボコボコにされたこともありますし、中には調査中、行方不明になった人もいます。その人はどこかに埋められてしまった……というウワサですね。