探偵社に届く「ヤバい依頼」の数々
――これまで変わった依頼はありましたか?
小沢 変わった依頼はたくさんありましたよ。たとえば「謎の組織が某テレビ局を狙っているから、怪しいやつがいないか周辺の撮影をしてきてほしい」という依頼。複数人で何十時間も張り込みましたが、怪しいやつの基準もあいまいですし、結局「いませんでした」と報告して終わりです。
ほかにもテロリストに狙われていると主張する依頼者にも会いました。暗殺者がレーザーポインター付きの銃で自分を四六時中狙っていると。僕は「それは大変ですね」と話を聞いていましたが、同僚が興味本位で「でも、額にレーザーポインターが当てられているって、なんでわかるんですか?」と聞いてしまって。いやいや、それを言っちゃ元も子もないだろと(笑)。
――依頼者はどうしたんですか?
小沢 何もひるまずに、「いや狙われてるんです、間違いなく」と。でも結局、それで話は終わってしまいましたね。
あと印象深かったのは、「お月さまに追いかけられているから、証明してほしい」という依頼もありました。依頼者はかなりお年を召された女性でしたが、家族に相談しても信用してもらえないと。事実を証明するために、自分が月に追われているところを映像に収めてほしいというのです。後日、月夜に待ち合わせて、歩いている彼女と月が1つの画角に収まるように撮影したことがあります。
――ちなみにそのときのお値段は……?
小沢 3日間で80万くらいだったと記憶しています。あ、これらの変な依頼の数々はすべて、僕がまだ会社勤めの探偵だった頃の話ですよ。今は独立して仕事を選べるので、絶対にやりません。(笑)