一番多いトラブルは「お金」
――それだけ高額だと、依頼者とトラブルが起きることも多いのでは?
小沢 会社員時代は、料金に関するクレームが本当に多かったです。さきほども話に出たように、探偵が働いていなかったとしても、それが依頼者にバレることはまずない。
依頼者も何かしらのトラブルや心配事を抱えて依頼するわけですから、わざわざネットやSNSで探偵社を告発することもない。リピーターがつく商売でもないので、業者側はやったもん勝ちなんですよね。ちなみに独立してからは、依頼者とのトラブルは一度もありません。
――探偵への依頼料を高いと思われますか?
小沢 うーん、それはすごく難しい。日数や稼働人数にもよりますし。あと高いと思うかどうかは、依頼者によります。依頼者は自分の感情に対してお金を払っているというか、納得感を買っているようなところがあるので。
たとえば、今付き合っている恋人は独身だと言っているけど、どうも怪しいから調査してほしいという女性がいたとします。探偵に相談している時点で、実はもう彼女の中で答えは出ているんですよね。そのモヤモヤを解消するために、彼女はわざわざお金を払っているわけで、探偵側の働きぶりはそこまで重要じゃないことも多いんです。
――なるほど。では、探偵という仕事でやりがいを感じる瞬間は?
小沢 依頼者がその後の人生で幸せになることですね。たとえば僕が見つけた証拠のおかげで、離婚調停や裁判がうまくいったとか。そんな前向きな話を聞けたときはやりがいを感じます。
いくらこちらが証拠を見つけても、依頼者が不幸になることだってあります。大げさでなく、できることなら僕に依頼してくれた人たちすべてが幸せになってほしいですね。
写真=山元茂樹/文藝春秋
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