近年、覚醒剤、MDMA、コカイン、大麻に手を出して検挙される大学生や高校生、中学生が急速に増えている。スマホやSNSが普及したことで、“子ども”でも多種多様な薬物情報を難なく得ることができ、しかも手軽に入手できてしまうのが要因だ。

 ここでは、厚生省麻薬取締官事務所(通称:マトリ)に採用され、薬物捜査の第一線で活躍した瀬戸晴海氏の著書『スマホで薬物を買う子どもたち』(新潮社)から一部を抜粋。出会い系サイトやマッチングアプリ、パパ活に潜む薬物犯罪の危険性について紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く

この写真はイメージです ©iStock.com

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出会い系はネット犯罪の温床

 睡眠薬を悪用した事件は後を絶ちません。ざっと調べただけでもここ数年で100件はくだらないでしょう。しかも、事件になるのは氷山の一角で、泣き寝入りしている被害者のほうがはるかに多いと考えられます。こうした事件の端緒となっているのがSNSやマッチングアプリです。

 出会い系サイトは、目的が「婚活」「恋活」「友達さがし」「ヤリモク(セックス目的)」などに区分され、多数のサイトが乱立しています。親世代の感覚からすると、ネットでの出会いにかつてのテレクラのようないかがわしさを感じるかもしれません。しかし、若者たちにとって、ネットでの出会いはもはや“日常”であり、時代の変化に応じて登場した新しい“男女の出会いの場”と捉えるべきでしょう。

 たとえば、お見合いサービス事業者が2022年に成人式を迎える新成人を対象に行った「恋愛・結婚に関する意識調査」では、交際相手とどこで知り合ったかという質問に対し、「幼稚園~高校時代」、「大学(専門学校)、大学院など」に次いで、3位が「ネット(SNS・アプリ)」。「アルバイト先」よりも多い14・4%の若者がネットで交際相手と出会ったとしているのです。コロナ禍で部活やサークル活動が制限され、アルバイトは激減し、各種イベントは中止に追い込まれました。そうしたなか、ネットを介した人的交流がこれまで以上に増えることは自明と言えます。

 ただし、日常生活で面識のない相手と“出会う”ことにリスクはつきものです。