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《史上最多1300万枚超えの衝撃》ジャニーズファンがCDを買う“3つの理由” 「ライバルとの争いは『枚数の暴力』でしか…」

2022/08/27
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 代替イベントも開催できないなか、最終的に落ち着いたのが2022年1月の「デビューから丸2年記念カウントダウン スペシャルイベント」でした。発表当初は推しと接触できないことを残念がるファンから「なんのために沢山CDを買ったと思ってるの?」という不満の声も上がりましたが、現実問題として初週売上132.8万枚の中で当選する人はごく一部になります。当初の予定通り8公演だとすれば、仮に1公演で5000人がハイタッチできたとしても参加できるのは4万人。100万人以上は落選の憂き目を見ます。

 その当選確率の低さが周知され、「全員がちゃんと参加できる配信なら悪くない」という雰囲気が広がったのは自然です。

 特典を配信にして全員が参加できるようにするスタイルは2021年11月のなにわ男子のデビューでも採用され、デビュー曲「初心LOVE」の購入者限定特典としてオンライン生配信「なにふぁむ大集合!~なにわと何する生Xmas 2021~」が実施されました。配信を視聴するには初回盤1、初回盤2、及び通常盤の3枚を買う必要がありましたが、逆に言えば3枚買えば絶対に落選することはありません。

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 落選を喰らってCDの買い疲れに陥っていた人も、「抽選で当たっても遠方のイベントには行けない」という人も、「1枚買えばいいかな」と思っていた人も、3枚のCDを買うモチベーションが生まれたのです。

Snow Man Johnny's netより

全形態を網羅しないと全貌が見えない

 みっつめが「世界観の合体ロボ化」です。

 複数の形態が発売されるCDの内容構成は、本当に複雑になりました。昭和のレコード全盛の時代ならシングルに収録されるのはA面にタイトル曲、B面にカップリング曲の2曲。CDの黎明期でもタイトル曲、カップリング曲と、両曲のインストルメンタルを入れておけば誰も怒りませんでした。

 しかし複数形態の販売が普通になったことで、「ガワだけ変えて、中身がまったく同じっていうのも……」という良心の呵責がメーカーを襲ったのか、はたまたファンの収集欲を刺激するためなのか、“全形態を網羅しないと全貌が見えない”つくりがとても増えたのです。

 たとえば、2022年8月17日にリリースされたKis-My-Ft2の新譜「Two as One」には初回盤A、初回盤B、通常盤、ファンクラブ限定盤の4形態がありましたが、すべてに共通して収録されているのはタイトル曲の「Two as One」のみ。

 初回盤Aにはカップリングとして「リボン」(「東京インテリア」CMソング)、初回盤Bには「Smokin’Hot」(「ウナコーワエース」CMソング)、通常盤には「Akumu」及び全曲のインストルメンタルが入っています。ファンクラブ限定盤は曲は「Two as One」だけですが、ライブ映像や舞台裏密着ドキュメントDVD、ライブフォトブックが同梱されています。

CDの3形態をコンプリートした報告ツイート

 初回盤A、Bにもそれぞれミュージックビデオや撮影メイキングドキュメント等のDVDが付いていて、もはやCDは“タイトル曲の仮面を被ったお楽しみパック”になっているのが現状です。

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