ほかにも各形態の個別先着予約購入特典(クリアファイル等)、3形態同時予約特典(3CD収納ボックス、フォトブックレット)、さらにスペシャルムービー視聴シリアルなども用意され、手厚い特典のミルフィーユが、もったりとやさしくファンを包みます。
このすべてを味わうことで「ああ、今回のフルコースはこんな仕立てなのだな」と納得できますし、満足感もいや増します。タイトル曲単体でも成立しているのですが、みんなが集まってひとつになれば合体ロボのようにより強く楽しくなるのが最近のCD。ならばぜひ、全形態揃えて“満漢全席”としゃれこみたいところです。
いまさら1形態になったら「大事にされてない」と感じる人も
そして興味深いのは、特典で購買欲をそそったり複数形態を同時販売する方法に対するネガティブな反応がジャニーズ界隈ではほとんど見られないことです。ジャニーズは推しとの接触機会がレアなので、たまに差し込まれる握手会やハイタッチ会はお祭りとして気分を盛り上げてくれます。
複数販売にいたっては、もし推しグループのCDが1形態だけの販売だったら「雑! 事務所に大事にされてない!」と感じる人は、私を含めてかなり多いように思います。推しグッズとして身近に豊かなバリエーションを置けるのは、ひたすら喜ばしいことでもありますし。
ところで、そうやって“買われた”複数のCDたちはどうなるのでしょう?
「1種類ずつしか買わないので、大切に取ってある」という場合はいいのです。ランキングを押し上げるため、あるいはイベント参加券目当てに大量に買われたCDたちは、どんな“余生”を過ごしているのでしょうか。
爆買い経験のあるジャニーズファンたちに訊きました。
「1枚1枚のCDに“人権”を感じていたら、身動きができなくなります。沢山CDを買うときは、『これは推しが天下取るための足場』とか、『イベントが当たる宝くじ』というふうに見方を変えますね。このお金があったらあれが買えるのに、とかほかのものと比べたりもしません。推しに必要な愛を届けるために、情を断ち切るんです。
役目を終えたCDですか? さすがに発売間もないうちは生命力が強すぎるので、しばらく部屋に置いて“生命の灯火”が和らいできたころに必要な分を残して処分しています」(Aさん)
「また新しい子を迎えるために、前の子を片づけるんだって割り切っています。罪悪感をもってウジウジしてもしょうがないので。何かあったら困るから、イベントがあるときは終わるまで保持しますが、ありがとうと手を合わせて、終わりしだい捨てちゃいます」(Bさん)
「段ボールに詰めて物置や納戸にしまって、なかったことにするケースが多いですかね。あとは、他のグループのファンに会うとき名刺代わりにCDをあげたりします。向こうからも“CD返し”されるんですが、そこはおたがいさまってことで受け取っています。行きつけの美容院やネイルサロンに『欲しい人がいたらあげて』って託してくることもありますね」(Cさん)
大量に買ってランキングやイベントを見届けた後は、皆それぞれに買い集めたCDたちに落とし前をつけているようです。それでもまた新譜が発表されたなら、彼女たちは意気揚々とCDを買うのでしょう。
最後に「なぜCDを買うの?」という質問に対し、ファンたちが口を揃えて言った言葉を記しておきます。
「だって、ジャニーズがCDを出すから」