「ジャニーズJr.は、みんな思春期みたいな時期に活動してるじゃないですか。だからたとえ30万円以上使ってチケットを手に入れて認知されても『キモ!』って思われるんですよ。永遠に無視されたり」
ホストクラブにハマる前は、ジャニーズ、メンズ地下アイドルファンだったというサヤカさん(27歳)。彼女はなぜ「ホス狂い」に転身したのか? 作家の大泉りか氏の新刊『ホス狂い』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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「アイドル化」するホストたち
「わたし、ホストに通う前はアイドルのオタクをしていたんです。だから仕事は隙間っていうか、追っかけの合間に働いていた感じで。でも、ホストクラブに通い始めて、ちゃんと出勤して、どうやったらより稼げるかを考えるようになったら、収入がぐんとアップして。お金を稼ぐのって自分次第だって知ってからは、収入を下げたくなくなって、仕事をさぼることもなくなりました」
サヤカさんのようにもともとアイドルやV系の追っかけをしていたという経歴を持つホス狂いの女性は、決して珍しくない。ファッションや髪型など、ルックスが近しいのもあるし、そもそも見た目のいい男性に金を払うという共通点がある。
近年、ホストがアイドル化していることも、ジャニオタやバンギャがホス狂いになる要因のひとつだ。実際、YouTubeやSNSなどを駆使して自らに希少価値をつけて、「会いに行けるアイドル」を演出するドル営(アイドル営業)という営業方法もある。
実業家の青汁王子こと三崎優太が3年連続でホスト企画と称してホストクラブに入店したり、スーパーに売られていた精算前の魚の切り身を開封して食べたとして窃盗罪などの罪に問われ、刑事事件となったことが世間を騒がせた迷惑系YouTuberのへずまりゅうがホストに転身するなど、別業界での有名人がホストとなるパターンもある。「会ってみたい」という訴求に働きかけるという意味では、これらもドル営の一種とも言えるのではないだろうか。
ちなみに2021年のホスト企画による青汁王子の売り上げは5日間で1億超え(※単独ではなく「青汁軍団」と呼ばれるメンバーでの総合計)を記録するとともに、エイベックス株式会社代表取締役会長である松浦勝人や、有名YouTuberのヒカルといった著名人が多く客として店を訪れたことが話題を呼んだ。
また、へずまりゅうも3週間で1360万円の売り上げを記録したことが女性週刊誌などで報じられた。話題性をマネタイズするための手法として「ホストになる」ということも、昨今ひとつの事象なのである。