「お母さんも追っかけしていたんです」
「子供の頃から、お母さんも追っかけしていたんです。だから、お金を使ってイケメンに会うっていうことに抵抗がない。最初は関西ジャニーズJr.が好きでした。でも、Jr.って卒業しちゃうんですよね。しばらく追っかけていたんだけど、応援していた子たちが全員デビューしてしまって、次にメン地下に行ったんです」
メン地下とはメンズ地下アイドルの略である。
メディアにはあまり露出はなく、インディーズレーベルや自主制作などで音源をリリースし、ライブハウスなどでのパフォーマンスや握手会、チェキ撮影会などファンと近い距離で活動を行っているアイドルを指す。テレビや雑誌などの、いわゆる商業メディアでの露出はなくともSNS全盛期の昨今、推しを探している女性の目に留まるチャンスは多くあるし、積極的に推し活する女性が多く存在する今、メン地下にも相応のニーズがある。
2019年のマイナビBLITZ赤坂の単独ライブでは千人超のファンを動員し、オリコンデイリーアルバムランキング1位という記録を持つ「新世紀えぴっくすたぁネ申」や、ヤマハのボーカロイドのプロジェクトをきっかけに結成された読モグループ「ZOLA」、ニコニコ動画の踊り手が組んだ「*ChocoLate Bomb!!」、元ジャニーズJrがプロデュースする「Tim&U」など、個性豊かなグループが群雄割拠している状況にあり、握手会やチェキ撮影会などのイベントではいわゆる前戯物販と呼ばれる接触(手つなぎやバックハグ、壁ドン、顎クイなど)ができるところも、女性ファンたちの心を掴んでいる。
ギャル男、お兄系ムーブメントを牽引し、多くのホストたちがモデルとして誌面に登場していた太陽図書の雑誌『men's egg』が、一時期、メンズ地下アイドルのカタログ誌にリニューアルしたこともある。ホストとメン地下、その両者が担っている役割は、一部被っているのだ。
「1回お金を使うと2~3か月は優しくしてもらえる」
「わたし自身がネガティブなタイプだから、自信に満ち溢れている人に惹かれるんです。そんなに顔自体はよくなくても、『俺、超かっこいいからアイドルしてる』とか言ってる人に、『かっこいい!』って言ってあげるのが好き。でも、メン地下の追っかけって、毎日現場に行くのが偉いみたいな空気感があって。
体力や睡眠時間、働く時間を削ってまで追いかけないといけないので、ちょっと大変なんですよね。前は『メン地下のファンって、なんで若い子が多いんだろう』って不思議だったんだけど、20代後半になると体力の低下を感じて『ああ、もう通えないな』って痛感して。それにジャニーズJr.は、みんな思春期みたいな時期に活動してるじゃないですか。だからたとえ30万円以上使ってチケットを手に入れて認知されても『キモ!』って思われるんですよ。永遠に無視されたり。
でも、ホストはそれがない。1回お金を使うと2~3か月は優しくしてもらえる。メン地下やジャニーズに比べたら、お金はずっとかかるけど、もともとお酒好きだし、椅子にも座ってられるし、毎日行かなくてもいいのが、ホストはいいんです」
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