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――豪快だけどあやしすぎます(笑)。荒木師匠は、お酒もたばこもやらない。なのに、なぜディスコに行こうと思ったんですか?

荒木 学生時代、私は結構な真面目ちゃんで、生徒会とかもやっていたタイプでした。でも、おしゃれは好きだったから、その反動でしょうね。遊ぶからにはとことんやろうと思って、裁縫が得意だったから、市販のプレーンなボディコンを買ってきて、自分ではさみを入れて、胸元をハートにくり抜いたりしていたんです。さっき言ったようにスーツは高いから、毎週違う服着て行くためには、低予算で工夫するしかない。ボディコンって安かったから。

ボディコン姿の荒木師匠(本人提供)

――意外と安いんですか、あれって。

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荒木 高いものだと2万円ぐらいしたけど、109に行けば3900円ぐらいから買えたんですよ。でも、最初から露出の多いスーパーボディコンだったわけじゃなくて、最初は平野ノラさんが着ているような長袖のスーツ系ボディコン。そこから、どんどん軽量化されていった感じですね。ディスコで踊りまくるから暑いわけ。長袖から袖なしになって、さらに水着のようになっていく。

「ジュリ扇」誕生秘話

――機能性を重視した結果がボディコンだったと。そういう変遷があるとは思わなかったです。

荒木 “必要は発明の母”じゃないけど、そういう流れがあったんですよ。「ジュリ扇」と呼ばれる羽扇子も同様で、自然発生的に生まれたもの。

 ジュリアナの館内は、人混みでごった返して、みんな踊っているから、とにかく暑い。しかも、ちょっと休憩するにしてもあおげるものがなかった。ジュリアナってメニュー表がないですし(笑)。人によっては、曲のトーンが落ちたときに、靴を脱いで、「あーッ」っていいながら手であおいでいる女性もいたんだけど、スポットライトが当たってるところで、よくそんなみっともないことができるなと。

現在は『結婚相談所アプレ』を主宰 ©文藝春秋

――たしかにすごい光景です(笑)。

荒木 美意識的にないよねって。楽しく遊ぶには、マナーを守らないといけないでしょ。当時、私の母親が銀座のママだったので、お茶用のちっちゃい扇子を借りて、ジュリアナに行ったところ、「これはいいな」と。胸の谷間のところに挟んで踊っていたら、案の定暑くなってきて、曲に合わせてカッコ良くあおいでみたら盛り上がっちゃって(笑)。そこから振り付けっぽく見せるジュリ扇に進化して、流行っていった感じです。実は、風が来るようにするための暑さ対策だったんだけどね。