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「大谷を売った」との汚名を着せられるのは…

 大谷は来季終了後にフリーエージェント(FA)になる。それまで球団には契約延長、トレードが主な選択肢となる。残留すれば史上最高年俸となることが必至とされる巨額の資金を要し、他のポジションの補強がままならなくなる。立て直しのため若手有望株とトレードすれば、かつてベーブ・ルースをヤンキースにトレードで放出したレッドソックスのフレイジー・オーナーのように「大谷を売った」との汚名を後世まで着せられる。モレノ氏は進むも退くも、いばらの道とみられていたのだが……。

「モレノは、新しいオーナーに最大の懸案事項を押しつける格好になります。仮に一部米メディアが報じたように売却が1、2年かかるとしても、その間に交渉するであろう譲渡先の意向を伺いながら行うことはあり得る。また、譲渡先にめどが立たず、モレノ自身の判断で大谷をトレードすることになっても球団売却が前提にある。『球団の未来のため、やむを得ず放出した』という評価になるのではないか。後ろ指を指されるリスクは小さくなった」(同前)

©文藝春秋

 今夏のトレード期限直前に、エンゼルスは守護神イグレシアス、先発陣の一角シンダーガードと主力を放出し、大谷の来季年俸分を確保したとされる。身売り交渉がどう転んでもいいように、当面の準備は済ませているように映る。

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 大谷はシーズン終盤にプレーオフを争う中でのプレーを希望しているという。ただ、エンゼルスへの愛着も口にしている。この代理人は「オーナーが決まらなければ、エンゼルスの方針が分からず、去就で判断材料がない。モレノがオーナーのまま来季を迎えると、チームも死に体になり、暗黒時代が続きかねない。一刻も早く新オーナーの下、チーム編成の方針を定め、仮に豊富な資金があるなどして大谷を残せるなら慰留に、資金的に困難ならトレードで若手有望株を獲得し、再建に乗り出せばいい。モレノは球団を高値で売り抜けることに執着せず、速やかに売却を済ませるべき」と指摘するが、果たして今後の行方は?