文春オンライン

「本当にあのときに死なないでよかった」母が見つけてあわてて駆け寄ってきて…中川翔子が語る“スイッチが入ってしまった日”

『「死ぬんじゃねーぞ!!」 いじめられている君はゼッタイ悪くない』より#2

2022/08/31

source : 文春文庫

genre : ライフ, ヘルス, 教育, 読書, 芸能, 社会, 政治

note

 タレント、俳優、歌手、声優など多彩な分野で活躍する中川翔子さんは、中学生の頃にいじめが原因で不登校になり、“死にたい夜”を過ごしたという。

 そんな中川さんが、今悩んでいる10代の若者に伝えたいことを文章と漫画で記した著作『「死ぬんじゃねーぞ!!」 いじめられている君はゼッタイ悪くない』より一部を抜粋。かつて「死のうとした」中川さんの体験と、同じように苦しんでいる人に伝えたいメッセージを紹介する。(全2回の2回目/前編を読む

 中川翔子さん ©文藝春秋

◆◆◆

ADVERTISEMENT

 1年のなかで、10代の自殺件数を日別に調べると、圧倒的に9月1日が多いといいます。そして、自殺の原因でいちばん多いのは学校問題だそうです。

 新学期のはじまりの日、9月1日。

 学校に行かなくてもよかった、夏休みが終わってしまうとき。

 学校に行かなくてはならない。だったらもう、死んでしまおう。

 そんなふうに死を選んでしまうほど追いつめられてしまう10代の尊い心と命。

 10代の、思春期の心の振れ幅は自分では抑えきれないもので、振り返るとわたしも13歳から18歳くらいまで、傷つきやすい心で毎日戦っていたように思います。

 楽しいことにのめり込めるパワーも大人の何十倍もあるけれど、一旦心にキズがつくと、ヒビがどんどん深く入っていきやすくもなる。

 学校で言われて傷ついたことを、何度も思い出しては、

「どうせなにをやっても失敗するんだ」

「わたしは人に嫌われる星の下に生まれたんだ」

 そんなふうに考えるクセがついてしまったり。

「もう死んでしまいたい、消えてしまいたい」という衝動に襲われた夜もありました。

「もうヤダ。人生なんてどうでもいい」

「なんでわたしがあんなこと言われなきゃいけないんだ、許せない」

 人には言えないけれど、心の中のぐるぐるネガティブなループ。

 電車のホームに行くたびに、「いまここから線路に飛び込んだら死ねるのかな。全部終わりにできるのかな」なんて考えがよぎったり、「でも飛び込みは遺族が莫大なお金を支払わなきゃいけないって聞いたことがある……」ということを思い出したり、でもほんとうに飛び込む勇気もない。

 17歳のころ、「もういやだ!」「もう死ぬ」というスイッチが入ってしまったことがありました。そのときは、いじめられた記憶のフラッシュバックに加えて、ほかにもいろいろ嫌なことが重なって、死ぬこと以外を考えられない状態になっていたのだと思います。