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「本当にあのときに死なないでよかった」母が見つけてあわてて駆け寄ってきて…中川翔子が語る“スイッチが入ってしまった日”

『「死ぬんじゃねーぞ!!」 いじめられている君はゼッタイ悪くない』より#2

2022/08/31

source : 文春文庫

genre : ライフ, ヘルス, 教育, 読書, 芸能, 社会, 政治

note

 傷ついた方が覚えていることも、やった側は大したことだとは認識していないことがほとんどです。時の経過とともに、亡くなった人のことも忘れて、人生を楽しんで生きていきます。

 たとえいじめ被害者遺族が裁判を起こしても、いじめと認められなかったり、自殺との因果関係がないと判断されて負けてしまうケースは数え切れないほどあったそうです。

 死んで楽になる、なんて決してないと思います。

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 悲しみや苦しみが終わらないのは育ててくれた大切な家族なんです。

 10代の繊細な心に「死にたい」という衝動が生まれて、どうしようもなくなったときにどうしたらいいのか。難しいことだし、答えもないし、人それぞれ心の色はちがいます。

 なので、わたしからお願いです。

 まずは、1回、寝てください。

©iStock.com

 苦しい気持ちに向き合うことを、とにかく1日、先延ばしにしてみてほしい。

 チョコレートを食べてみる。

 なにか好きな食べものを食べる。

 好きなゲームを起動する。

 猫を撫でる。

 ネットでいろんなサイトを見にいく。

 ほんとになんでもいいので、ささやかなことでいいので、いまの衝動から一旦、気持ちを逸らしてほしい。

 それを繰り返して、少しずつ毎日を生き延びてほしい。

 ほんの少し、楽しいな、とか、

 おいしいな、とか、

 これ好きかも、とか、

 あのゲームの新作がでるなぁ、とか。

 ほんのり心のアンテナが動くなにかを見つけ出すように。

 そのうち、少し元気になれる日もきたりします。もちろん理不尽なできごとに落ち込む日もあります。

 だけどそれでも、少しずつ、死にたい日を先延ばしにしていってください。

 どうか死ぬことだけは選ばないでください。