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香ばしい話を抱いた政治家を放置“身体検査”を軽視したツケ 

 さらには、岸田文雄さんが熊本岸田会なる総裁選専用団体を立ち上げるにあたり、統一教会と極めて関係の深い企業人や地元財界の人物がそのトップに座っていた話まで週刊文春で報じられました。あくまで九州財界や教育界の「やらかし」であって、間接的な関係に過ぎない岸田文雄さんの責に帰さないものだから大丈夫だと逃げ切れると判断して、静観をしたのが裏目に出て報じられてしまったため、統一教会外しの路線が後手に回った格好です。

 しかしながら、九州財界や大学において「日韓トンネル構想」が九州経済の起爆剤になると本気で考えている人たちが、この元ネタは統一教会だったのだと知らずに担いだ経緯は政府有識者たちも知るところでした。そういう香ばしい話を抱いたままの政治家が総理大臣や政務三役(大臣や、副大臣、政務官)になるにあたり、スキャンダルがないかどうか、もしも出火したら逃げ切れそうかどうかを調べる通称「身体検査」において、繰り返し指摘をされてきたところでもあります。

役割を終えても生き残った、統一教会と勝共連合

 逆に言えば、いままで清和会など自民党の保守傍流と呼ばれていた何でもありの政治姿勢が、1960年代からの全共闘時代・安保闘争でテロや殺人、暴行を繰り返してきた共産勢力の赤化に対抗するべく統一教会と手を組んで勝共連合を作り、その暗躍を黙認してきました。左翼運動にヤクザや宗教団体信徒を送り込んで潰してきたアメリカ・ソ連の冷戦構造の最先端で頑張ってきた装置が、自民党と宗教団体の相互補完を設えてきた側面はあります。

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 敗戦後すぐに始まった米ソ冷戦の最前線にあった日本が、民主主義を掲げる西側陣営としてこの旧秩序に順応するための構造を作ったまでは良かったものの、時を経て、役割を終えたはずでした。しかしながら、その後も統一教会も勝共連合も組織の生き残りのためにあらゆる画策をし、自民党政治に食い込んだ結果、対北朝鮮外交の窓口となり、また、政治資金の清廉化のプロセスの中で適法に重労働な選挙ボランティアを無償で出してくれて、落選しても変わらず献身的に支援する人たちが宗教団体だったよという話にもなります。

〈電撃訪朝から20年〉北朝鮮を訪れた小泉純一郎が「金正日には『もう会わなくていい』と…」日朝平壌宣言の“知られざる裏側”
https://bunshun.jp/articles/-/53782

いまなお数万人規模の“信者”がいる旧統一教会

 そして、ここに来て統一教会がマスコミからの繰り返されるバッシングに危機感を覚えたのか、統一教会と所縁のあったメディアを公開するという話をするようになってきました。先には、統一教会批判の急先鋒とも言える「ミヤネ屋」を抱える日本テレビ系が、その看板番組でもある「24時間テレビ」の制作にあたって統一教会信者と思われる人物の関与を統一教会が公式に明らかにしたのは驚くべきことです。本当にこれが信仰であるならば、信仰を理由に解雇することは後述の通り違憲の疑いもある一方、追い詰められた統一教会がこのような反撃を平気でしてしまう人たちなのだという証明でもまたあるのです。