ちょうどコロナ第5波が来ていたことから、すぐには動きにくかった。自分の直感を信じ、「既婚者合コン」に「参戦」するタイミングを待つ。参加より参戦と表現するほうがしっくりくるほど、僕のテンションは高まっていた。
「朝活」にいよいよ参戦
緊急事態宣言が明けた21年11月、サイトCでおあつらえ向きの開催を見つけた。
ネーミングは「朝活」で、「サクッと出会いたい方集まれ」。年齢は20代後半から40代半ばだから、何とかOK。会費は7500円、お酒を飲まないと500円引きだ。
開催の1週間前に決断し、 「申し込みフォーム」を記入していく。必須項目は、名前・メールアドレス・電話番号・年齢など。任意で「名札に記入する名前」を書くようになっていた。「送信」ボタンを押すと、無事に自分のメアドに案内が届く。一度、返信をして予約を確定させる仕組みだった。
こうして僕は、人生初の「既婚者合コン」に足を運ぶことになった。
緊張で心臓がバクバク、質問が思いつかない
「アヤさんですか。ゆうきと申します。初めまして」
平日午前10時45分、僕は都内雑居ビル地下1階の飲食店にいた。手元にはスパークリングワインが入ったグラス。そして、アクリル板の向こうには「アヤ」の名札をつけた女性が座っている。「ゆうき」の名札は、 申し込み時に記した通りに準備されていた。
アヤさんは見たところ、30代前半というところ。クリーム色のニットセーターに、紺色の細身パンツという上下。薄ピンク色のネイルを施し、両耳にはゴールドのイヤリングがぶら下がっていた。派手すぎず、かつ地味すぎず。「感じがいい」というのが第一印象だ。
1秒半で外見チェックを終えた僕に対し、返事が返ってきた。
「こんにちは。いや、おはようございます、ですかね。あはは、アヤです」
お店に入った時から僕の心臓は、緊張でバクバク状態。いつもの取材と勝手が違いすぎて、質問が思い浮かばない。「さて、何を話したものだろうか」。第二声を出せずにいたところ、入口の主催者女性が通る声で呼びかけ始めた。