平成初期と比べ、約10%も上昇している離婚率。2019年の厚生労働省の発表によると、3組に1組が離婚の危機に置かれているといわれるなど、惹かれ合って結婚したものの、「離婚」という選択をとる夫婦は少なくない。社会環境が変わる中、現代夫婦のあり方はどのように変わっているのか。
ここでは、ジャーナリストの富岡悠希氏による『妻が怖くて仕方ない』(ポプラ新書)の一部を抜粋。取材として潜入した“既婚者合コン”の実態を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)
◆◆◆
記事で知った「既婚者街コン」
仮面夫婦はどうガス抜きをするのだろうか。彼らの家庭内は砂漠だ。だとすると、家庭外に求めるのではないか。
21年に入ったぐらいになると、僕はこんな仮説を立て始めた。
アンテナを張ると、情報感度は高くなる。同年8月中旬、新婚女性が「既婚者アプリ」で浮気をしたという記事をクリックした。そこにはコロナ前、「『既婚者街コン』なるものも多く開かれていた」とあった。街おこし、地域交流で開く「街コン」は知っていた。ただし、それを既婚者限定で実施する「既婚者街コン」は、初耳だった。
「美辞麗句ほど怪しい」綺麗な文言の勧誘文句で気になる
未知の情報と接すると、Google 検索する癖がついている。実行すると、いろいろヒットした。「街コン・婚活パーティーの出会いポータルサイト」もあれば、「既婚者同士の飲み会」「既婚者サークルで合コン」の案内もあった。
情報を目にした瞬間、ピンと来た。ここに「仮面夫婦」が集っていないか。妻だけ、夫だけとの関係から自由になりたい男女が憂さ晴らししているのではないか、と。
複数のサイトをチェックすると、次のような勧誘文句が並んでいた。「これまでにない素敵な出会いを楽しみ、人生を豊かにするための集まり」(サイトA)。「日頃のストレスを持ちより、既婚者同士、非日常の中で楽しくおしゃべりして一緒にサークルのように盛り上がりましょう」(サイトB)。他を見ても、どうも綺麗な文言が並んでいる。「美辞麗句ほど怪しい」。ジャーナリストの習性で、ますます気になる。