約2年半前の2020年2月7日、韓国ソウル市近郊の京畿道加平郡にある世界平和統一家庭連合(旧統一教会)本部にほど近い清心平和ワールドセンターでは、コロナ禍にもかかわらず、大規模な“祝福式”、いわゆる合同結婚式が開催されていた。

合同結婚式当日、開会前の会場の様子

 山上徹也容疑者(41)が安倍晋三元首相を銃殺したことをきっかけに、政治との関係が明るみに出た統一教会。その合同婚といえば、1992年に歌手の桜田淳子が参加したことで話題になった。当時、教祖によって決められた見知らぬ異性と結婚するというシステムに世間は驚愕した。当時の教えはいまでも変わらず受け継がれているが、全国霊感商法対策弁護士連絡会の東京事務局長を務める渡辺博弁護士は合同婚の仕組みをこう解説する。

「教祖の文鮮明により“祝福”を受けて家庭を築くことは、原罪から解放され、救済が実現する唯一の方法とされています。信者たちにとって、合同結婚式は非常に重要なイベントであると同時に、統一教会にとっては大きな資金源でもある。合同婚への参加費用は一人あたり140万円。この金額は国ごとに異なり、日本人は他国よりも高額に設定されていると聞いています。ちなみに、この140万円に渡航費や宿泊費は含まれていません。ウエディングドレスなどの衣装も、教団が指定した業者で用意しないといけない。韓国の旅行社や業者にとっては経済効果も大きい」

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文鮮明の生誕100周年、文鮮明と韓鶴子の結婚60周年の節目

 

「天地人真の父母天宙聖婚60周年記念式」の開会を告げるオープニングムービー。二人が結婚し、世界中に布教していく様子が表現されている
『天地人真の父母聖誕100周年及び天宙聖婚60周年記念行事』

 統一教会にとって資金集めの重要なイベントである合同婚。「文春オンライン」は2020年に参加した日本人男性から式の様子がわかる写真と動画を入手した。男性が当時を振り返る。

「この年は教祖・文鮮明の生誕100周年、文鮮明とその妻で現在の総裁である韓鶴子の結婚60周年の節目でもあり、全世界64カ国から大勢の信者が集まっていました。25000人を収容できるという会場は満員で、祝福を受けたのは未婚のカップル6000組、既婚のカップル9000組、天寶入籍家庭(教団における名門家庭としての称号を受ける家庭)3500家庭とされます。文鮮明の長男である文孝進の息子2人、つまり文鮮明の孫もこの日に祝福を受けていましたね」