「韓鶴子を見る参加者の眼差しは恍惚としたもので、会場は独特の熱気に包まれていました。しかし、合同結婚という形式自体は異様であるものの、思いのほか儀式の内容そのものにさほど奇異なものは見受けられませんでした。むしろ、統一教会の教義や、現教主の韓鶴子の偉大さを可視化し、アピールしようとする計算しつくされた演出には感心すら覚えたほどです。教団広報以外のメディアが複数招かれていたのも意外でした」
健全化をアピールするも、信者獲得に苦戦し、二世の女性が余ってしまう
前出の渡辺博弁護士はこう分析する。
「2009年に霊感商法事件で摘発されて以降、統一教会は健全化をアピールするために様々な手段を講じてきました。ゴミ掃除を行ったり、イベントに政治家を呼んで挨拶をさせたりするのもその一環です。合同結婚式にメディアを招待したのは、“取材されている”という実績を作ることで、社会的に認知されている団体になったとアピールする狙いがあるのでしょう」
毎年多くの信者が参加する合同結婚式。しかし近年、その参加者にある変化があるのだという。
「名称を変えたとはいえ、駅前での声掛けや戸別訪問を堂々とすることが難しく、教会は今も新規の信者獲得に苦戦している。ですから近年の合同結婚式の参加者は、ほとんどが2世信者なのです。その2世信者の中でも、祝福を希望するのは男性よりも女性の方が多く、女性が余ってしまう状況が続いています」(同前)
親がマッチングサイトで相手を選ぶ
マッチング相手のいない女性が高齢化し、出産適齢期を過ぎてしまうと、信者同士の子、つまり “祝福された子ども”を産む機会が奪われることになる。
「統一教会の機関誌である『世界家庭』でも、この問題は幾度となく取り上げられています。これの解決のため、最近ではマッチングサイト上で世界中の2世信者の親同士がミーティングをし、相手を選ぶという方式が取られているようです」(同前)
統一教会では原則として恋愛が禁じられている。2世信者本人がサイトで“出会う”ことは恋愛を認めることになってしまうため利用できないが、親同士が決めるならば問題ないということのようだ。