1ページ目から読む
5/5ページ目

 

抱き合って踊り、ハートマークを作るカップル

「結婚後に生活をともにする“家庭出発”にも、教会からの許可が必要になります。学生カップルの場合、実際に家庭出発するのは生活の基盤ができてからになりますが、祝福を受けた以上、統一教会の教義では離婚は堕落。簡単に許されることではありません」(同前)

 渡辺弁護士のもとに相談に来た脱会者は、口を揃えて「統一教会では恋愛が禁止されていたので、今も異性とどう接したらいいのかわからない」と語っていたという。

ADVERTISEMENT

 こうしたなか、合同結婚式は、統一教会の自由な恋愛を禁じるという歪な教えを体現する儀式でもある。

「合同結婚式が終わり、教団の文化祭のようなイベントである『孝情文化祝祭』に移行する幕間で、司会者が参加者たちに『今日祝福を受けた喜びをダンスで表現してください!』と呼びかけていました。参加者たちは抱き合って踊り、スクリーンには2人でハートマークを作るカップルが大写しになっていて……。彼らは本当に“祝福されている”と感じているのだなと思い、複雑な気持ちになりました。参加者の幸福や信仰は否定しませんが、彼らのこれからの人生がどのようなものになるのか、まさに“神のみぞ知る”ですね」(参加者)

手や腕でハートマークを作る参加者も

「多くの家族が円満というのは、実態に即していない」

 8月10日に行われた会見で、田中富広会長は合同結婚式について言及した。その中で、「祝福結婚が男女の意に反して行われることはない。離婚率は2%以下と少なく、多くのカップルは幸福円満に過ごしている」と主張している。しかし、前出の渡辺弁護士はこう反論する。

モニター画面を見ながら、歌唱に聞き入る韓鶴子

「数字の根拠が不明ですが、統一協会の信仰を持ち続けている夫婦での離婚が少ないということを言っているのかもしれません。結婚生活が破綻し、脱会した人たちはカウントされていないのではないか。私は、実際に祝福が壊れた家庭を多く見てきました。特に韓日カップルは悲惨です。重度の知的障害を抱えた韓国人信者のもとに嫁いだ女性が、なんとか日本に逃げ帰ったというケースもありました。あるいは、祝福を受けて生まれた子供が、信仰に悩み苦しみ、自分の体を売ってまで親と縁を切るといったケースも出ています。多くの家族が円満という彼らの主張は、実態に即していないと感じます」

 2012年には合同結婚式で韓国人信者のもとに嫁いだ日本人女性が、夫を殺害する事件も起きた。貧乏と夫の飲酒や暴力に苦しんだ末の犯行だったという。

 信仰に人生を狂わされた人々の声は、教会には届いていないようだ。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。