36時間起きて、4時間寝る生活
――休みは年間で何日ぐらいありましたか?
柴田 いちばん酷いときは……ゼロですね。休みどころか、睡眠時間も人生で普通の人の3分の1以下しか取れていない気がする。「36時間起きて、4時間寝る」というような生活でした。
――寝ないと、漫画も描けなくなりそうですが……。
柴田 まず不機嫌になります。それを超えたらハイになって、世界がすべて灰色に見えてくる。あと、平衡感覚もおかしくなりますね。床がふわふわして、常に平らじゃない場所にいるような感覚でした。
――体調面での異常はありませんでしたか。
柴田 カラダはもうボロボロ。体調不良で生理が止まらなかったり、その逆に原稿をかき上げた瞬間から生理になったり。あとは歯茎から毎日出血していましたし、匂いや味も感じていませんでした。人間疲れすぎると、どこかしらに異常が出てくるものなんですよね。
「このままだと50歳で寝たきりですよ」
――以前、テレビ番組でも紹介された「こけしを枕にする生活」を始めたきっかけは?
柴田 長い間、布団で寝ていなかったんです。起きたらすぐ仕事ができるように、寝る場所はいつも仕事机の下。その後、たまたま取材先で買ったこけしを枕にしてみたら、思いのほか首のコリに効いて塩梅がよかったんですよね(笑)。
――不健康トークで盛り上がりましたが、2012〜2018年には「美容家」として活動されていた時期もありました。
柴田 当時、まわりにカラダを壊す同業者が続出して、冗談抜きで「死にたくない!」と思ったからです。ずっとまわりにいる人間がみんな不健康だったから、変な状況に慣れてしまったのよね。だって「30時間寝てない」とか、当時は当たり前の会話でしたから。
当然、早くに亡くなる漫画家の知らせも続いて……。このままだと自分もヤバいと思って、44歳でジムに通い始めました。そこでカラダの歪みや筋肉量を細かく測定してもらったら、トレーナーから「このままだと50歳で寝たきりですよ」と言われて。
――カラダがものすごく歪んでいた。
柴田 利き手ばかり使っているから、おかしな方向に固まっていたみたいです。それをまっすぐに矯正しつつ、栄養ドリンクをやめて、食事も自分で作るようになったら、45歳にしてようやく普通の生活を取り戻せました。