『金八先生』を見て「あれは自分だ」と確信
――まさきさんがカミングアウトしたきっかけは?
まさき 高校2年生のとき、地元の友だちにしたのが最初です。『3年B組金八先生』で上戸彩さんが演じた性別違和をもつ生徒を見て、「あれは自分だ」と確信しました。
ただ自分は「病気」という意識だったので、その少し前、荒療治的に男性の先輩と体の関係まで持って。
――それはかなりキツい体験だったのでは……。
まさき 「病気を治すには男性と付き合うしかない」という切迫した思いからでした。でも、めちゃくちゃ辛かったですね。自分の上で動く彼を見ながら、「自分もあっち側がいい」とずっと思っていました。
――女性の体への違和感はいつからありましたか?
まさき 小学校2年生のときにはじめて好きになった子が女の子でした。ただそのときは女として女を好きなのか、男として女を好きなのか、自分の性自認については全然わかっていませんでした。あとはFTMあるあるですけど、赤いランドセルはやっぱり嫌でしたね。
下校途中、倉庫に引きずれ込まれて…
――「赤いランドセル=女の子」という記号みたいなものですもんね。
まさき 小学校からの下校途中、知らない男の人に倉庫に引きずれ込まれて、いたずらされそうになったことがあって。自分が黒いランドセルを背負っていたらこんな目に遭わなかったのでは? と思えて、ますます赤いランドセルが嫌になりました。
――「女」であることが嫌になる、厳しい体験です。
まさき 親戚中が男の中、僕は待望の女の子として生まれました。でも、いとこと遊ぶときもボーイッシュな方が混ざりやすかったから、格好もジーンズにシャツ。周りから「もうちょっと女の子らしくしたらいいのに」「かわいい服を着た方が似合うよ」と言われていてしんどかったですけど、本格的に嫌だな、と感じ始めたのは中学生からですね。
――身体の変化に加えて、恋愛とかお化粧とかファッションとか、一気に開花する時期ですね。
まさき まず、制服がめちゃくちゃかわいいセーラー服だったんです。かなりキツかったですが、当時流行っていたミニスカ、ルーズソックスでギャルっぽい感じに仕上げてやり過ごしていました。恋愛面でも「女なのに女の子が気になってしまう自分は一体何? 病気なのかな?」と思い詰めた結果、さっきのような行動に出てしまって。
その後、彼女ができたんですけど、バレて学校ではハブられました。