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「親からもらった体は散々いじり倒したくせに(笑)」

――それは親の手前、みたいなことでしょうか。

まさき 親からもらった体は散々いじり倒したくせに(笑)、名前を変えることはできなかったんですね。なので、元々の名前に一文字付け加えて、本当の名前も残すかたちにして落ち着きました。

 

――戸籍の性別も名前も見た目も変えて社会的に完璧な「男」となった後で、逆に困ることってありましたか。

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まさき 前も話したように、いくら男になっても「元女」だったことは一生ついてまわります。生殖機能がないので、パートナーができても結局は「先が見えない」と言われてフラレてしまう。トランスジェンダーの世界で「先が見えない」は、別れの定番文句ですね。

――そんな中で、まさきさんは結婚もしてお子さんも作りました。

まさき 少し前まで別れの理由が「トランスだから」になりがちでしたけど、子どもを持てる可能性がゼロではなくなった今は、むしろ「人としてどうか」という当たり前のことが別れの理由になってきています。

 男として結婚して子どもを持つなんて、中高生のときには絶対に叶わない夢物語だと思っていました。でも、その十数年後にはパートナーと一緒に兄貴に向き合って「精子をください」ってお願いしていましたから。人生、わからないものですよね。

写真=山元茂樹/文藝春秋

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