「きょうだいの家庭内暴力に苦しんでいます。私も両親も、かれこれもう何年も、いつ殴られるかわからない恐怖と戦いながら暮らしています。警察にも相談しましたが、事件にならないと動けないと言われ、それ以上取り合ってもらえませんでした。母は暴力を振るわれても、本人のことをかばい続けています。両親と私は働いていますが、本人が働きもせず家族に金銭をせびったり暴れたりするので、お金がいくらあっても足りず、家は経済的にも困窮している状況です。
吉川さんは家庭内暴力のある家に生まれ育ったとのことですが、どのようにして問題を解決されたのでしょうか。もう家族がめちゃくちゃで、毎日、死んでしまいたいくらいに辛いです。
こういう場合、どうすればいいかアドバイスをいただけませんでしょうか」
貧困問題や機能不全家族の問題について発信している私のもとには、こういった相談が頻繁に届く。親から子ではなく、きょうだいからきょうだいへ、あるいは子から親への暴力は、児童虐待などに比べると認知度も理解度もまだまだ低い。被害者向けの支援体制も整っていないため、特に解決が難しい問題である。
被害者のための問題解決策が提示されていない
例えば「家庭内暴力」「解決方法」とネットで検索してみても、出てくるのは「暴力を振るっている子どもだってつらいはず。感謝の気持ちを伝え、いま一度、子どもと向き合ってみましょう」という、“お花畑”にいるとしか思えないような回答だ。しかもそれを「専門家」がしている有様で、役に立ちそうなものは見当たらない。
家庭内暴力の問題に詳しい第一人者としてメディアに出ている精神科医ですら、被害者からの相談に「とにかく相手の言い分を否定せず受け入れること」「暴力はいやだ、と断言すること」の一点張りを決め込んでおり、当事者としては「そんなことはもう死ぬほどやってきているうえで、本人が大人になっても少しも問題が解決しないから困っているのだが」と言いたくなるほど、現実的な解決策が提示されていない。