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 ハリー王子夫妻は事実を否定しているものの、その後の英大衆紙の報道によれば、調査に協力したいと名乗り出た王室スタッフは10人以上。身の回りを世話するスタッフは縁故採用も多く貴族階級出身者もいます。大勢いるスタッフのなかに差別意識のある人間がいてもおかしくはありません。

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なぜ、これほど長男と次男に序列をつけるのか

 メーガン夫人はインタビューの中で、「子どもに王子や王女の称号をつけられない」と言われたこと、警護が受けられなかったことに不満を述べていますが、これらはすべて法律で決まっていることで、「肌の色」とは全く関係ありません。

 メーガン夫人はインタビューの中で、「子どもに王子や王女の称号をつけられない」と言われたこと、警護が受けられなかったことに不満を述べていますが、これらはすべて法律で決まっていることで、「肌の色」とは全く関係ありません。

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 長子相続の伝統のあるイギリスでは、長男と次男の格がまるで違います。子どもの称号一つにも明確なルールがあるのです。ウィリアム王子とキャサリン妃の子どもは、ジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子といった具合に、すでに王子、あるいは王女の称号がついています。

©️iStock.com

 一方、次男のハリー王子の子どもに王子や王女の称号がつくのは、父親のチャールズ皇太子が即位してからというのがルールです。つまり王位継承の可能性の高い人に称号がつく。このことはメーガン夫人にも事前に知らされていたはずです。

 こうした長男と次男の序列は様々なところで表れます。例えば、ウィリアム王子とハリー王子では勲章に9ランクも差があります。日本ではまだ昭和天皇の存命中に、礼宮(現秋篠宮)が最高位に次ぐ大勲位菊花大綬章をもらっていますが、ウィリアム王子が2008年に最高位のガーター勲章をもらっているのに対し、ハリー王子はロイヤル・ヴィクトリア勲章の勲2等。1等ももらえない。ハリー王子がガーター勲章をもらえるのは50代頃です。これはチャールズ皇太子の弟アンドリュー王子も同様でした。

 なぜ、これほど長男と次男に序列をつけるのか。この序列の厳しさは国家を維持するためのイギリスの知恵です。兄弟が平等に相続するドイツ系諸侯や、兄弟にみな爵位を与えるロシアは、代が替わるたびに所有地が分割され、争いが絶えませんでした。英王室が小さな島国でありながら連綿と続いたのは、明確で厳しい序列のおかげなのです。

君塚直隆氏による「女王はメーガン妃を許さない」全文は、「文藝春秋」2021年5月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

文藝春秋

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女王はメーガン妃を許さない