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長野市の町の“中心”

 その長野電鉄市役所前駅は、ちょうど昭和通りと長野大通りの交差点に位置する。その交差点から東にいけば駅名の通りの長野市役所。西側に行けば新田町の交差点に出る。

 新田町交差点付近も、決して衰えたとかそういうことはなく、善光寺の門前町としての長野の町の歴史を受け継ぐがごとく、長野の中心市街地のひとつとして賑わっている。善光寺への参道は、昔からの中心と新しい中心の長野駅前を結ぶという、そういった役割をも担っているのだろう。

 長野駅前に戻ってくると、夏の夕暮れに立派な駅舎が実によく映えていた。長野駅はもともと1936年に建てられた仏閣型駅舎が名物だった。もちろん長野の町のシンボルである善光寺にちなんだものだ。

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 この駅舎は、1985年になってすぐ脇にMIDORI長野が開業してからも現役であり続け、生まれ変わったのは北陸新幹線(長野新幹線)が開業した1997年のこと。そのときに伝統ある仏閣型駅舎を捨てて、ごく一般的な橋上駅舎に生まれ変わった。そしてそれが、2015年にリニューアルを施されて現在の形になったというわけだ。

 
 
 

 駅と駅前広場のリニューアルに合わせ、ごちゃついていて雑多な印象だった町も一変。2017年度の都市景観大賞にも輝いている。もちろん、昔の仏閣型駅舎のほうが良かったという人もいるだろう。が、広々とした空間はたくさんの人を集める新幹線時代の駅舎にとっては欠かせない。そういう意味で、いまの長野駅は善光寺とならぶもうひとつの長野市の町の“中心”として、これからも長く働いていくことになるのだろう。

写真=鼠入昌史

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