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「ソフトが売れず、人材流出につながる」(産経新聞)など、ソニーがPS5の出荷で日本市場を優先しない状況を批判する論調は新聞系メディアからも出ていますし、通常はメーカーへ批判を避ける傾向のあるゲーム専門系のメディアでも、遠回しにPS5の現状に疑問を唱えるような記事が見られる状況です。

 では、そうした問題が山積している環境下で、PS5はどれほど売れているのでしょうか。

実際、PS5は世界的に売れているの?

 発売直後の売れ行きを振り返ってみると、スタートダッシュは世界中で品不足になるなどの爆発的なものでした。実際、ソニーは2021年3月末までに、前世代機のPS4を上回る780万台を出荷しましたが、品不足は解消されませんでした。

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 ちなみに、米国では、同時期に発売されたライバル・マイクロソフトのゲーム機「Xbox Series S」「X」も好調。背景には、2020年春に発生した新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、在宅を促す「巣ごもり効果」という“追い風”があったのです。

ソニーのゲーム機の出荷シェア、日本は…

 しかし、世界的にはこれほど売れているハードにもかかわらず、日本の店頭ではいまだになかなか安定して見かけません。「転売などの問題があるにしても、それにしても……」というのが、多くの人の実感ではないでしょうか。

 実は、そもそもソニーのゲーム機の出荷シェアで日本の占める割合は1割程度にすぎません。そのため2013年のPS4の発売タイミングは、欧米よりも3カ月遅れの2014年2月になり、日本のゲームファンからは不満が出ました。その反省もあってか、PS5は日米欧同時期発売に踏み切っています。

 ただ、前述のような世界的な人気がアダとなり、フタを開けてみれば世界中どの地域も品不足に。結果、市場比率の大きな地域に優先的に出荷する戦略をとることになり、2020年の約2カ月、PS5の世界出荷数は450万台のうち、日本は28万台に留まり、日本への比率は6.2%と1割のラインを大きく下回ったのです。